開腹止血術と動脈塞栓術後にガーゼパッキングによる開胸止血術が必要だった多発外傷の一例

〔要旨〕症例は40歳台の男性。自動二輪車同士の衝突事故により受傷した。ドクターカーの医師が接触時、患者はショック状態であった。来院後直ちに開腹し,脾臓を摘出,続いて骨盤骨折・左腎損傷に対して動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization;TAE)を施行した。その後,右胸腔ドレーンからの血性排液が急激に増加し,再びショック状態に陥ったため右開胸した。肺穿通創を開窓し縫合止血するも肺裂傷部からの出血が持続し,ガーゼパッキング・仮閉胸状態で手術を終了した。集中治療,予定的再手術,整形外科的治療を経て受傷3カ月後に転院となった。腹部のダメージコントロール手術(dam...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Acute Care Surgery Vol. 12; no. 1; pp. 81 - 85
Main Authors 中山, 文彦, 石木, 義人, 福田, 令雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本Acute Care Surgery 学会 2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2436-102X
DOI10.50840/jjacs.12-1

Cover

More Information
Summary:〔要旨〕症例は40歳台の男性。自動二輪車同士の衝突事故により受傷した。ドクターカーの医師が接触時、患者はショック状態であった。来院後直ちに開腹し,脾臓を摘出,続いて骨盤骨折・左腎損傷に対して動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization;TAE)を施行した。その後,右胸腔ドレーンからの血性排液が急激に増加し,再びショック状態に陥ったため右開胸した。肺穿通創を開窓し縫合止血するも肺裂傷部からの出血が持続し,ガーゼパッキング・仮閉胸状態で手術を終了した。集中治療,予定的再手術,整形外科的治療を経て受傷3カ月後に転院となった。腹部のダメージコントロール手術(damage control surgery;DCS)とTAE後に胸部のDCSも施行して救命できた症例を,胸部DCS手技についての考察と併せて報告する。
ISSN:2436-102X
DOI:10.50840/jjacs.12-1