診断に難渋した肺原発リンパ腫様肉芽腫症の一例

症例:69歳男性.胸痛を主訴に前医を受診した.胸部CTで左肺下葉に9 cm大の腫瘤を認めた.腫瘍マーカーはIL-2Rのみ1310 U/mlと高値であった.気管支鏡検査で確定診断は得られなかった.血液検査で炎症反応を認めており肺膿瘍が疑われ抗生剤治療が行われたが,1ヵ月後のCTで腫瘤は増大傾向にあり当科紹介となった.診断,治療目的に手術を施行したが肺門部が強固に癒着しており生検のみで終了した.病理診断はEBV陽性リンパ腫様肉芽腫症でありびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に準じた化学療法を施行後,腫瘍は縮小し左肺の含気は改善,IL-2Rは421 U/mlと正常を維持している.結語:確定診断に難渋した肺...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 1; pp. 64 - 68
Main Authors 高瀬, ゆかり, 桑原, 元尚, 竹下, 盛重, 山本, 聡, 山本, 耕三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2023
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.37.64

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Summary:症例:69歳男性.胸痛を主訴に前医を受診した.胸部CTで左肺下葉に9 cm大の腫瘤を認めた.腫瘍マーカーはIL-2Rのみ1310 U/mlと高値であった.気管支鏡検査で確定診断は得られなかった.血液検査で炎症反応を認めており肺膿瘍が疑われ抗生剤治療が行われたが,1ヵ月後のCTで腫瘤は増大傾向にあり当科紹介となった.診断,治療目的に手術を施行したが肺門部が強固に癒着しており生検のみで終了した.病理診断はEBV陽性リンパ腫様肉芽腫症でありびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に準じた化学療法を施行後,腫瘍は縮小し左肺の含気は改善,IL-2Rは421 U/mlと正常を維持している.結語:確定診断に難渋した肺原発リンパ腫様肉芽腫症を経験した.肺化膿症などを疑い抗生物質を用いるものの反応に乏しい場合,本疾患の関与に留意する必要があるように思われた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.37.64