右傍胸骨に連珠状の再発転移を認めた卵巣癌の1例

症例は70歳代女性で,卵巣明細胞癌に対し子宮全摘と両側付属器切除を受け,術後1年が経過した頃より右前胸部痛が出現した.CT検査で胸骨右縁の第1~3肋間に各々辺縁明瞭な10 mm大の結節影と右肺上葉に結節影が認められた.PET-CTでも集積を認め,卵巣癌の胸壁転移と肺転移が疑われた.胸壁の腫瘍は比較的辺縁が明瞭で,骨シンチでも肋骨や胸骨に集積を認めないことから,3ポートの胸腔鏡下に肺部分切除と胸壁の腫瘍周囲組織を含めた摘出術を施行し,病理検査で卵巣癌の転移と診断された.連珠状の複数転移が認められた報告は無く,卵巣癌の胸壁転移部位はほとんどが傍胸骨リンパ節であるが,その転移経路について検討された報...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 2; pp. 99 - 104
Main Authors 青山, 晃博, 岡田, 春太郎, 渋谷, 信介, 寺田, 泰二, 太田, 紗千子, 髙橋, 守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2023
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.37.99

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Summary:症例は70歳代女性で,卵巣明細胞癌に対し子宮全摘と両側付属器切除を受け,術後1年が経過した頃より右前胸部痛が出現した.CT検査で胸骨右縁の第1~3肋間に各々辺縁明瞭な10 mm大の結節影と右肺上葉に結節影が認められた.PET-CTでも集積を認め,卵巣癌の胸壁転移と肺転移が疑われた.胸壁の腫瘍は比較的辺縁が明瞭で,骨シンチでも肋骨や胸骨に集積を認めないことから,3ポートの胸腔鏡下に肺部分切除と胸壁の腫瘍周囲組織を含めた摘出術を施行し,病理検査で卵巣癌の転移と診断された.連珠状の複数転移が認められた報告は無く,卵巣癌の胸壁転移部位はほとんどが傍胸骨リンパ節であるが,その転移経路について検討された報告は少ない.転移経路として,腹膜に播種した癌細胞が経横隔膜的にリンパ系に浸潤して横隔膜胸腔側上のリンパ節に転移し,傍胸骨のリンパ流路を介して,傍胸骨のリンパ節群に転移したものと考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.37.99