気管・気管支の発生異常

気管, 気管支の先天異常は比較的まれであり, 日常診療において次の2つの原因で発見されることが多い. (1)強い呼吸器症状(喘鳴, 呼吸困難など)(2)胸部異常陰影(反復性肺炎, 遷延性咳嗽など)呼吸症状で発見されるものには, 気管狭窄, 気管気管支軟化症など気道狭窄を主体とする疾患が含まれている. これに対して, 発熱, 咳嗽などの軽微な症状をきっかけとして胸部X線上の異常陰影で発見される気管, 気管支の発生異常も多い. 日常遭遇する機会の多い胸部異常陰影は, (1)片側の不明瞭(2)縦隔偏位(3)片肺の過膨脹, 嚢胞状陰影という代表的な3つの型に分類することができる. (1)片側の不透瞭代...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児呼吸器疾患学会雑誌 Vol. 14; no. 1; p. 57
Main Author 宮川, 知士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児呼吸器疾患学会 2003
Online AccessGet full text
ISSN0918-3876
2185-3754
DOI10.5701/jjpp.14.57

Cover

Loading…
More Information
Summary:気管, 気管支の先天異常は比較的まれであり, 日常診療において次の2つの原因で発見されることが多い. (1)強い呼吸器症状(喘鳴, 呼吸困難など)(2)胸部異常陰影(反復性肺炎, 遷延性咳嗽など)呼吸症状で発見されるものには, 気管狭窄, 気管気管支軟化症など気道狭窄を主体とする疾患が含まれている. これに対して, 発熱, 咳嗽などの軽微な症状をきっかけとして胸部X線上の異常陰影で発見される気管, 気管支の発生異常も多い. 日常遭遇する機会の多い胸部異常陰影は, (1)片側の不明瞭(2)縦隔偏位(3)片肺の過膨脹, 嚢胞状陰影という代表的な3つの型に分類することができる. (1)片側の不透瞭代表的疾患は片肺欠損であり, 片肺の極度な低形成もこの範疇に入る. 不透瞭な側の胸郭は小さく, 縦隔の偏位に伴う気管の走行異常を認める. 健常肺に向かう気管支は下行大動脈や椎体の前方を横断する部位でしばしば狭窄を認める. 模様部を欠く軟骨奇形(輪状軟骨)による気管狭窄の合併も多い.
ISSN:0918-3876
2185-3754
DOI:10.5701/jjpp.14.57