篩骨洞放線菌症の1例

放線菌症は口腔内常在菌であるActinomyces属によって引き起こされ,頭頸部に好発するが,副鼻腔放線菌症の報告は少ない。今回われわれは稀な篩骨洞放線菌症の1例を経験したので報告する。症例は81歳女性。主訴は右鼻閉と鼻漏。臨床経過と画像所見から副鼻腔真菌症を疑い,内視鏡下副鼻腔手術を施行した。特徴的病理所見から副鼻腔放線菌症と診断した。術後はアモキシシリンを8週間投与し,13か月の経過観察を行い再燃は認めなかった。放線菌症ではペニシリンの高用量,長期投与が推奨されるが,副鼻腔放線菌症においては,外科的治療が有効で,病変切除の程度に応じて抗菌薬治療は短縮できると考えられた。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 31; no. 2; pp. 203 - 207
Main Authors 三ッ井, 瑞季, 松見, 文晶, 室野, 重之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2021
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.31.203

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Summary:放線菌症は口腔内常在菌であるActinomyces属によって引き起こされ,頭頸部に好発するが,副鼻腔放線菌症の報告は少ない。今回われわれは稀な篩骨洞放線菌症の1例を経験したので報告する。症例は81歳女性。主訴は右鼻閉と鼻漏。臨床経過と画像所見から副鼻腔真菌症を疑い,内視鏡下副鼻腔手術を施行した。特徴的病理所見から副鼻腔放線菌症と診断した。術後はアモキシシリンを8週間投与し,13か月の経過観察を行い再燃は認めなかった。放線菌症ではペニシリンの高用量,長期投与が推奨されるが,副鼻腔放線菌症においては,外科的治療が有効で,病変切除の程度に応じて抗菌薬治療は短縮できると考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.31.203