術前血清腫瘍マーカー高値を呈したStage I授乳期乳癌の1例

症例は35歳,女性.授乳2カ月目より左血性乳頭分泌を自覚,その3カ月後に左乳房腫瘤を自覚したが受診せず,授乳8カ月目に断続的な左血性乳頭分泌を認めたため当科を受診した.A区域を中心に約70mm大の腫瘤を触知し,マンモグラフィでは線状石灰化が区域性に分布,造影MRIではnon-mass enhancementを区域性に認めた.針生検では非浸潤癌であったが,血清腫瘍マーカーはCEA,血清HER2共に高値を呈していた.PET-CTでは明らかな遠隔転移やリンパ節転移,他臓器腫瘍は認めず手術の方針となり,左乳房全切除術とセンチネルリンパ節生検を施行.術後,血清腫瘍マーカーは速やかに低下し,乳癌由来であっ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 1; pp. 11 - 16
Main Authors 竹本, 佳菜, 西山, 加那子, 村上, 朱里, 高田, 泰次, 亀井, 義明, 田口, 加奈, 北澤, 理子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.11

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Summary:症例は35歳,女性.授乳2カ月目より左血性乳頭分泌を自覚,その3カ月後に左乳房腫瘤を自覚したが受診せず,授乳8カ月目に断続的な左血性乳頭分泌を認めたため当科を受診した.A区域を中心に約70mm大の腫瘤を触知し,マンモグラフィでは線状石灰化が区域性に分布,造影MRIではnon-mass enhancementを区域性に認めた.針生検では非浸潤癌であったが,血清腫瘍マーカーはCEA,血清HER2共に高値を呈していた.PET-CTでは明らかな遠隔転移やリンパ節転移,他臓器腫瘍は認めず手術の方針となり,左乳房全切除術とセンチネルリンパ節生検を施行.術後,血清腫瘍マーカーは速やかに低下し,乳癌由来であったことが推察された.最終病理診断にても非浸潤癌であったが,早期乳癌において血清腫瘍マーカー高値となる頻度は低く,今回異常高値を呈した要因として授乳期乳腺と広範な乳管内進展の関与が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.11