シート状シリカエアロゲル複合断熱材の熱伝導率測定

低密度でナノ多孔構造を持つシリカエアロゲルは,真空断熱材以外で最も小さい見かけの熱伝導率(0.02 W/(m∙K)以下)を示す材料として知られている.近年,シリカエアロゲルを不織布やポリマーのシートと複合化した断熱材料の開発と実用化が進んでいる.このような材料については,適合する測定法が限られること,試料サイズが限定される場合が多い等の問題があり,熱伝導率の測定方法が十分確立されていない.本研究では,我々が開発したシート状シリカエアロゲルについて,異なる方法での熱伝導率測定値の比較や,試料厚さ,大きさが測定値に及ぼす影響を検討した.熱流束計(HFM)法を用い,薄い試料を熱伝導率既知の材料で挟み...

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Published in熱物性 Vol. 35; no. 3; pp. 83 - 89
Main Authors 依田, 智, 竹下, 覚, 小野, 巧, 夛田, 亮佑, 大田, 英生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本熱物性学会 2021
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Summary:低密度でナノ多孔構造を持つシリカエアロゲルは,真空断熱材以外で最も小さい見かけの熱伝導率(0.02 W/(m∙K)以下)を示す材料として知られている.近年,シリカエアロゲルを不織布やポリマーのシートと複合化した断熱材料の開発と実用化が進んでいる.このような材料については,適合する測定法が限られること,試料サイズが限定される場合が多い等の問題があり,熱伝導率の測定方法が十分確立されていない.本研究では,我々が開発したシート状シリカエアロゲルについて,異なる方法での熱伝導率測定値の比較や,試料厚さ,大きさが測定値に及ぼす影響を検討した.熱流束計(HFM)法を用い,薄い試料を熱伝導率既知の材料で挟み込む手法により,保護熱板(GHP)での測定値とほぼ一致した測定値(0.016 W/(m∙K))が再現性よく得られることを確認した.また,試料のサイズがHFM法での測定値に及ぼす影響や,熱線法での測定値との比較を検討した.
ISSN:0913-946X
1881-414X
DOI:10.2963/jjtp.35.83