十二指腸潰瘍穿孔術後に胃十二指腸仮性動脈瘤十二指腸穿破を来した1例

症例は57歳の男性.急性腹症の精査での腹部単純CT検査にて消化管穿孔と診断され当院に救急搬送された.上部消化管内視鏡検査の結果,十二指腸球部に広範囲に及ぶ潰瘍と前壁に穿孔部を認めたため,同日に肝円索を用いた腹腔鏡補助下穿孔部閉鎖術を施行した.術後,間欠的な軽度の貧血進行を認めていたが,術後5日目に大量下血とともにショック状態となったため,緊急上部消化管内視鏡検査を施行したところ十二指腸球部後壁の潰瘍底に隆起した胃十二指腸動脈の仮性瘤からの出血であることが判明した.内視鏡的処置は困難と判断し,仮性動脈瘤近傍の十二指腸粘膜にクリップでマーキングした後に血管造影室に搬入した.動脈造影でクリップと一致...

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Published in山口医学 Vol. 74; no. 2; pp. 103 - 110
Main Authors 小野田 雅彦, 浦田 洋平, 福留 唯里加, 加藤 智栄, 岩村 道憲, 竹内 雅大, 古谷 彰, 井口 智浩, 白石 智世, 河野 和明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 30.05.2025
Subjects
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.74.103

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Summary:症例は57歳の男性.急性腹症の精査での腹部単純CT検査にて消化管穿孔と診断され当院に救急搬送された.上部消化管内視鏡検査の結果,十二指腸球部に広範囲に及ぶ潰瘍と前壁に穿孔部を認めたため,同日に肝円索を用いた腹腔鏡補助下穿孔部閉鎖術を施行した.術後,間欠的な軽度の貧血進行を認めていたが,術後5日目に大量下血とともにショック状態となったため,緊急上部消化管内視鏡検査を施行したところ十二指腸球部後壁の潰瘍底に隆起した胃十二指腸動脈の仮性瘤からの出血であることが判明した.内視鏡的処置は困難と判断し,仮性動脈瘤近傍の十二指腸粘膜にクリップでマーキングした後に血管造影室に搬入した.動脈造影でクリップと一致する部位に胃十二指腸動脈仮性瘤を確認し,コイル塞栓術にて止血した.その後の再出血はなく退院し,術後2ヵ月目の内視鏡検査で潰瘍は治癒していた.十二指腸潰瘍穿孔の術後に胃十二指腸動脈仮性瘤の十二指腸穿破を来した症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.74.103