化膿性胸鎖関節炎による胸壁,縦隔膿瘍に対し外科的ドレナージ術が有効であった1例

化膿性胸鎖関節炎は,コントロール不良な糖尿病,静脈注射乱用者,外傷などが原因で発症する稀な疾患である.今回我々は,化膿性胸鎖関節炎による広範囲な胸壁,縦隔膿瘍に対して,外科的ドレナージ術を施行し治癒した1例を経験したので報告する.症例は55歳,男性.既往歴に特記事項.1ヵ月前から前胸部腫脹と倦怠感を自覚するも症状の改善を認めず.CTで前胸壁を主座に,頸部から右胸腔内まで連続する広範囲な膿瘍形成を認め当院搬入となった.採血上,炎症反応は著明に上昇し,HbA1cが10.7%と未治療の糖尿病を認めた.前胸壁の腫脹部位を穿刺し,膿瘍の存在を確認の後,手術の方針とした.まず耳鼻科で経皮的に前胸壁をドレナ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 1; pp. 95 - 100
Main Authors 内藤, 雅仁, 佐藤, 之俊, 塩見, 和, 山﨑, 宏継, 近藤, 泰人, 松井, 啓夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.95

Cover

More Information
Summary:化膿性胸鎖関節炎は,コントロール不良な糖尿病,静脈注射乱用者,外傷などが原因で発症する稀な疾患である.今回我々は,化膿性胸鎖関節炎による広範囲な胸壁,縦隔膿瘍に対して,外科的ドレナージ術を施行し治癒した1例を経験したので報告する.症例は55歳,男性.既往歴に特記事項.1ヵ月前から前胸部腫脹と倦怠感を自覚するも症状の改善を認めず.CTで前胸壁を主座に,頸部から右胸腔内まで連続する広範囲な膿瘍形成を認め当院搬入となった.採血上,炎症反応は著明に上昇し,HbA1cが10.7%と未治療の糖尿病を認めた.前胸壁の腫脹部位を穿刺し,膿瘍の存在を確認の後,手術の方針とした.まず耳鼻科で経皮的に前胸壁をドレナージした.次いで,当科で胸腔内のドレナージを施行し,最後に予防的に気管切開を施行した.術後は,連日の胸腔内洗浄,頸部の処置,ならびに抗生剤治療で,膿瘍と炎症反応は改善を認め,56病日で軽快退院となった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.95