人工呼吸管理中の重症COVID-19患者に対するセボフルランの使用経験:ケースシリーズ

人工呼吸管理中のCOVID-19患者では,人工呼吸器との同調や呼吸仕事量の低減を目的として,比較的大量の静脈麻酔薬が必要となり,鎮静管理に難渋することがある。海外において,重症COVID-19患者に対する揮発性吸入麻酔薬の使用報告が散見されているが,本邦では未だ使用報告は少ない。今回,我々はCOVID-19患者に対してセボフルランを用いて鎮静を行った症例を4例経験したので報告する。本報告では,いずれの患者も静脈麻酔薬のみでの鎮静管理が困難となり,セボフルランの使用が開始された。セボフルラン投与開始後24時間の時点でプロポフォールやミダゾラムなどの静脈麻酔薬の使用量は減少しており,セボフルラン使...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 31; no. 1; pp. 9 - 13
Main Authors 小幡, 典彦, 岡田, 雅子, 古島, 夏奈, 牛尾, 将洋, 溝渕, 知司, 西村, 太一, 宮崎, 純志, 巻野, 将平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.01.2024
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.31_9

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Summary:人工呼吸管理中のCOVID-19患者では,人工呼吸器との同調や呼吸仕事量の低減を目的として,比較的大量の静脈麻酔薬が必要となり,鎮静管理に難渋することがある。海外において,重症COVID-19患者に対する揮発性吸入麻酔薬の使用報告が散見されているが,本邦では未だ使用報告は少ない。今回,我々はCOVID-19患者に対してセボフルランを用いて鎮静を行った症例を4例経験したので報告する。本報告では,いずれの患者も静脈麻酔薬のみでの鎮静管理が困難となり,セボフルランの使用が開始された。セボフルラン投与開始後24時間の時点でプロポフォールやミダゾラムなどの静脈麻酔薬の使用量は減少しており,セボフルラン使用前後で患者の鎮静度に大きな変化は見られなかった。今回の観察期間でセボフルラン使用に伴う明らかな有害事象は見られなかった。以上から,人工呼吸器管理中のCOVID-19患者においてセボフルランは,鎮静度を保ちながら静脈麻酔薬の減量を行うための選択肢となる可能性がある。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.31_9