稀な血液型委員会平成2年度稀な血液型の調査研究報告

• Published in: 日本輸血学会雑誌 Vol. 37; no. 6; pp. 878 - 879
• Main Authors: 関口, 定美, 赤石, 英, 徳永, 栄一, 大久保, 康人, 佐藤, 暢, 清川, 博之, 中嶋, 八良, 田村, 眞
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1991; 日本輸血学会
• ISSN: 0546-1448; 1883-8383
• DOI: 10.3925/jjtc1958.37.878

平成2年度の「稀な血液型調査研究」の事業内容は, 次のとおりであった. I. 各分担研究者による各地域での調査研究及び独自の研究 II. 登録と供給の状況報告 1. 各地域での調査研究及び独自の研究 (1)関口は, 北海道の5つの血液センター(北海道・旭川・釧路・室蘭・函館)で行った稀な血液型【-D-, Jr(a-), Di(b-), Fy(a-), SS, Jk(a-b-), K_o , En(a-), Ge(-), Lu(a-b-), Fy(a-b-), Gy(a-)】スクリーニング検査で12例[Fy(a-)6例(検出率0.85%), K_o 5例(検出率0.004%), Lu(a-b-)1例(検出率0.002%)]の稀な血液型を検出した. また北海道管内で登録されている稀な血液型献血者(377名)についてまとめ, 本年度の稀な血液型供給数80件の内訳について報告した. (2)赤石は, 東北地方の各県20の医療機関(各県の血液センターの供給血液単位数の上位20カ所)に稀な血液型に関するアンケートを送り, 103施設(回収率86%)から回答を得た. それによるとAh1例, -D-2例, Tj(a-)1例, Jr(a-)7例, Fy(a-)4例の計15例の稀な血液型が検出され, 49単位の血液が輸血された. 東北地方の血液センターが供給した稀な血液型血液は, 200ml換算で, 77単位であり, そのうち解凍赤血球が64単位であった. また3社の市販のモノクロナール抗M抗体と抗N抗体について比較検討した結果を報告した. (3)徳永は, 中央基幹センター地域内全血液センターにおける稀な血液型検出状況と供給状況を報告した. 同センター内で特にJr(a-)型の解凍赤血球の在庫が極端に減少したため, 抗原スクリーニングを実施し, あわせてFy(a-)のスクリーニングを実施した. また供給面では, Jr(a-)の166本を筆頭に計230本の稀な血液型の供給を行った. (4)大久保は, 大阪府赤十字血液センターの献血者から検出した稀な血液型78例についてRh_o (+), Rh_o (-)別に報告した. その内訳は, para-Bombayl例, -D-1例, Di(b-)15例, Fy(a-)31例, I(-)1例, Jk(a-b-)2例, Jr(a-)12例, K_o 1例, SS10例, SS+Fy(a-)4例となっている. また本年度中に検出されたRh_o (-)772例について, 表現型別にDelの検出数(79例)を報告した. (5)佐藤は, 岡山県血液センターで行った-D-, En(a-), In(Lu), K_o 型および, IgA欠損のスクリーニング検査で発見された稀た血液型(IgA欠損2例を含む11例)と, 中国・四国管内(岡山を除く)の血液センターで行った-D-, En(a-), Er(a-), Bombay, Jk(a-b-), Jr(a-), Di(b-), Fy(a-)およびSS型のスクリーニング検査の結果(計22例の稀な血液型を発見)について報告した. また, 中国・四国管内の血液センターと岡山血液センターでの平成3年3月31日までの稀な血液型登録状況について報告した. (6)清川は, 福岡県血液センターと大分県血液センターでPK-7000によるDvariant, -D-, In(Lu), Ge(-), En(a-), Fy(a-b-), K_o , Cr(-)型およびSバンド異常のスクリーニング検査の結果について報告した. それによると, Dvariant3例, -D-4例, In(Lu)33例, Ge(-)ヘテロ71例, En(a-)1例, K_o 3例, McLeod9例, Crweak1例, Sバンド異常2例を検出した. また福岡県血液センターで行ったJr(a-)抗原スクリーニング検査では, Jr(a-)型が6例検出された.