術前化学療法が奏効し喉頭温存術が可能となった広範囲食道表在癌の1例

頸部食道癌,特に表在癌に対する治療法においては,QOLを考慮した喉頭温存と根治性の点で,切除手術かCRTかの選択に難渋する.今回われわれは広範囲食道表在癌に対して,術前化学療法が奏効し喉頭温存術が可能となった1例を経験したので報告する.症例は60歳台,男性.食道入口部から胸部下部食道にかけての広範な食道表在癌と診断された(Ce-Lt,sq,cT1b(SM2)N0M0 Stage I).喉頭温存と口側断端確保を狙い,術前化学療法(DTX/5-FU/CDDP)を行った結果,粘膜面の生検は陰性であったが,PETで集積が残存し手術を追加した.術中迅速診断では口側断端陰性が確認でき,高位での胃管吻合およ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 3; pp. 672 - 677
Main Authors 兼松, 美幸, 井上, 聖也, 山本, 洋太, 古北, 由仁, 藤原, 晴夫, 丹黒, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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Summary:頸部食道癌,特に表在癌に対する治療法においては,QOLを考慮した喉頭温存と根治性の点で,切除手術かCRTかの選択に難渋する.今回われわれは広範囲食道表在癌に対して,術前化学療法が奏効し喉頭温存術が可能となった1例を経験したので報告する.症例は60歳台,男性.食道入口部から胸部下部食道にかけての広範な食道表在癌と診断された(Ce-Lt,sq,cT1b(SM2)N0M0 Stage I).喉頭温存と口側断端確保を狙い,術前化学療法(DTX/5-FU/CDDP)を行った結果,粘膜面の生検は陰性であったが,PETで集積が残存し手術を追加した.術中迅速診断では口側断端陰性が確認でき,高位での胃管吻合および根治手術が可能となった.また摘出標本はpCRであった.長期生存が期待できる食道癌に対しては手術,化学療法,放射線療法をうまく組み合わせることでQOLを確保した治療が可能である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.672