副交通胆管枝を伴う胆嚢結石症の1例

症例は60歳の女性で,集団検診で胆嚢結石症を指摘され,待機的手術を予定された.50歳台に総胆管拡張を指摘され,精査目的にERCPを施行されたが明らかな異常所見なく経過観察されていた.術前精査の造影CTおよびMRCPで肝内胆管・総胆管の軽度拡張および胆嚢頸部に径2cm大の胆嚢結石を認めたが,明らかな胆道系走行異常は指摘されなかった.胆嚢結石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,術中所見で右前枝胆管と胆嚢を交通する副交通胆管枝を認めた.周囲剥離およびテーピングが可能であったため,術中胆道造影で確認した上でクリッピング処理し切離した.術後一時的な肝酵素上昇を認めたが自然軽快し,術後経過は良好であった...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 3; pp. 787 - 792
Main Authors 豊住, 武司, 宮崎, 彰成, 丸山, 尚嗣, 星野, 敢, 水藤, 広, 松原, 久裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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Summary:症例は60歳の女性で,集団検診で胆嚢結石症を指摘され,待機的手術を予定された.50歳台に総胆管拡張を指摘され,精査目的にERCPを施行されたが明らかな異常所見なく経過観察されていた.術前精査の造影CTおよびMRCPで肝内胆管・総胆管の軽度拡張および胆嚢頸部に径2cm大の胆嚢結石を認めたが,明らかな胆道系走行異常は指摘されなかった.胆嚢結石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,術中所見で右前枝胆管と胆嚢を交通する副交通胆管枝を認めた.周囲剥離およびテーピングが可能であったため,術中胆道造影で確認した上でクリッピング処理し切離した.術後一時的な肝酵素上昇を認めたが自然軽快し,術後経過は良好であった. 副交通胆管枝はまれな胆道系走行異常であり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.787