左側アプローチによる胸腔鏡補助下に切除した食道GISTの1例

症例は67歳,女性.頻尿の精査目的で行った造影CTにて,縦隔内に占居性病変を指摘された.病変は,胸部中部食道と左主気管支との間に位置する径32×21mm大の造影効果に乏しい比較的内部均一な腫瘍性病変であった.同病変は,左主気管支との境界が不明瞭であり,かつ食道内腔への半球状の突出を認めた.MRIのT1強調画像で均一な低信号,T2強調画像で均一な軽度の低信号を呈し,粘性の高い液性成分である可能性が示唆された.以上から,気管支原性腫瘍と診断し,左胸腔アプローチによる胸腔鏡補助下に手術を施行した.腫瘍周囲組織の剥離をすると食道から発生する食道由来の腫瘍であった.食道粘膜下腫瘍と術中診断し食道部分切除...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 809 - 814
Main Authors 藤枝, 裕倫, 新井, 利幸, 関, 崇, 平松, 聖史, 後藤, 秀成, 雨宮, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.809

Cover

More Information
Summary:症例は67歳,女性.頻尿の精査目的で行った造影CTにて,縦隔内に占居性病変を指摘された.病変は,胸部中部食道と左主気管支との間に位置する径32×21mm大の造影効果に乏しい比較的内部均一な腫瘍性病変であった.同病変は,左主気管支との境界が不明瞭であり,かつ食道内腔への半球状の突出を認めた.MRIのT1強調画像で均一な低信号,T2強調画像で均一な軽度の低信号を呈し,粘性の高い液性成分である可能性が示唆された.以上から,気管支原性腫瘍と診断し,左胸腔アプローチによる胸腔鏡補助下に手術を施行した.腫瘍周囲組織の剥離をすると食道から発生する食道由来の腫瘍であった.食道粘膜下腫瘍と術中診断し食道部分切除を施行した.切除標本は病理組織学的に,CD117・CD34ともに陽性で,GISTと診断した. 本症例は,食道GISTに対し胸腔鏡補助下に左側アプローチにより食道部分切除を行った.文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.809