大腿ヘルニア嵌頓術後に遅発性の小腸狭窄・穿孔を起こした1例

症例は既往の無い56歳,女性.右鼠径部膨隆,腹痛を主訴に来院された.右大腿ヘルニア嵌頓の診断で腹腔鏡下ヘルニア修復術を行った.大腿輪に小腸が嵌頓していたため内視鏡下にこれを整復した.還納腸管に色調不良を認めたが,経時的に改善したため腸切除不要と判断し,そのままメッシュ修復を施行した.術後に麻痺性と思われるイレウスを認めたが保存的に改善し10日目に退院した.術後27日目に突然の強い腹痛で来院した.ショック状態で腹部CTでは気腹を認めた.消化管穿孔の診断で緊急手術を行った.回腸に全周性の線維性狭窄部位を認め,その口側約30cmの部位に1cm大の穿孔部位を認めた.ヘルニア嵌頓部の小腸が虚血性の小腸狭...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 2; pp. 590 - 593
Main Authors 牛込, 創, 田中, 守嗣, 早川, 哲史, 北上, 英彦, 中村, 謙一, 野澤, 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.590

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Summary:症例は既往の無い56歳,女性.右鼠径部膨隆,腹痛を主訴に来院された.右大腿ヘルニア嵌頓の診断で腹腔鏡下ヘルニア修復術を行った.大腿輪に小腸が嵌頓していたため内視鏡下にこれを整復した.還納腸管に色調不良を認めたが,経時的に改善したため腸切除不要と判断し,そのままメッシュ修復を施行した.術後に麻痺性と思われるイレウスを認めたが保存的に改善し10日目に退院した.術後27日目に突然の強い腹痛で来院した.ショック状態で腹部CTでは気腹を認めた.消化管穿孔の診断で緊急手術を行った.回腸に全周性の線維性狭窄部位を認め,その口側約30cmの部位に1cm大の穿孔部位を認めた.ヘルニア嵌頓部の小腸が虚血性の小腸狭窄となり腸閉塞を発症し,その口側腸管で穿孔をきたしたと思われた.鼠径ヘルニア嵌頓整復後の遅発性の腸管狭窄は報告をまれに認めるが,さらに穿孔に至った症例は極めてまれである.文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.590