腹腔鏡下低位前方切除術後に直腸精囊瘻をきたした1例

症例は68歳男性で直腸Raに2型腫瘍を認め,直腸癌cT3cN1cM0cStageⅢaの診断で腹腔鏡下低位前方切除術,D2郭清を施行した。Denonvilliers筋膜は温存し,直腸径が大きく自動縫合器1回で切離できなかったため2回で切離,吻合は自動吻合器で行った。術後4日目で経口摂取を開始したが,術後10日目で気尿が出現した。造影CTで精囊内に気腫像を認め直腸精囊瘻と診断した。絶飲食で中心静脈栄養管理,抗生剤治療を行い,術後22日目で食事を再開し,術後32日目に退院した。直腸癌術後の直腸精囊瘻は非常にまれでわれわれが医学中央雑誌・Pubmedを検索し得た限り自験例を含めて14例のみである。発症...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 897 - 902
Main Authors 高山, 祐一, 岡本, 和浩, 前田, 敦行, 金岡, 祐次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.897

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Summary:症例は68歳男性で直腸Raに2型腫瘍を認め,直腸癌cT3cN1cM0cStageⅢaの診断で腹腔鏡下低位前方切除術,D2郭清を施行した。Denonvilliers筋膜は温存し,直腸径が大きく自動縫合器1回で切離できなかったため2回で切離,吻合は自動吻合器で行った。術後4日目で経口摂取を開始したが,術後10日目で気尿が出現した。造影CTで精囊内に気腫像を認め直腸精囊瘻と診断した。絶飲食で中心静脈栄養管理,抗生剤治療を行い,術後22日目で食事を再開し,術後32日目に退院した。直腸癌術後の直腸精囊瘻は非常にまれでわれわれが医学中央雑誌・Pubmedを検索し得た限り自験例を含めて14例のみである。発症時期は術後9日から60日(中央値13.5日)で通常の縫合不全より遅れて発症する。外科的治療が必要となる場合もあるが,保存的に治癒する例が比較的多いので手術適応は慎重に判断する必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.897