膵管分枝癒合を背景に短期間で発症した腹側膵に限局する慢性膵炎の1例-発症と膵管分枝癒合との関連の考察を含めて

39歳·男性.心窩部痛を主訴に入院.ビール2本/日程度の飲酒歴あり.2年前のERCPでは広岡らの分類で3型の膵管分枝癒合を認めた.入院時の腹部超音波で膵頭部に境界不明瞭な低吸収域を認め,同病変は造影CT早期相で軽度に,後期相で周囲膵実質と同程度に造影された.ERCPで腹側膵領域に一致して粘液様の透亮像を伴う不整で高度な膵管拡張を認めた.膵頭十二指腸切除術を行なった.病理組織標本では病変はほぼ腹側膵領域に一致し小葉間の線維化が著しくnodular pancreatitis patternを呈していた.小葉間膵管には蛋白栓が見られた.アルコール性慢性膵炎と診断した.本症例の特徴は腹側膵領域に限局し...

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Published in膵臓 Vol. 23; no. 5; pp. 628 - 633
Main Authors 松橋, 亨, 菊山, 正隆, 笹田, 雄三, 仲程, 純, 大田, 悠司, 須田, 耕一, 高瀬, 優
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2008
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.23.628

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Summary:39歳·男性.心窩部痛を主訴に入院.ビール2本/日程度の飲酒歴あり.2年前のERCPでは広岡らの分類で3型の膵管分枝癒合を認めた.入院時の腹部超音波で膵頭部に境界不明瞭な低吸収域を認め,同病変は造影CT早期相で軽度に,後期相で周囲膵実質と同程度に造影された.ERCPで腹側膵領域に一致して粘液様の透亮像を伴う不整で高度な膵管拡張を認めた.膵頭十二指腸切除術を行なった.病理組織標本では病変はほぼ腹側膵領域に一致し小葉間の線維化が著しくnodular pancreatitis patternを呈していた.小葉間膵管には蛋白栓が見られた.アルコール性慢性膵炎と診断した.本症例の特徴は腹側膵領域に限局して高度のアルコール性慢性膵炎所見を呈している点である.主乳頭機能異常により生じた病変と推察した.その背景には存在する膵管分枝癒合に関わる病態の可能性が推察された.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.23.628