術後遺残膿瘍との鑑別が困難であった腸間膜原発悪性リンパ腫の1例
症例は53歳の女性で,胃粘膜下腫瘍に対し腹腔鏡補助下幽門側胃切除を施行し,胃異所性膵の診断であった.術後3カ月目に腹部全体の鈍痛が出現したためCT検査を行ったところ,腹腔内に膿瘍様の腫瘤が認められた.抗菌薬内服で経過観察としたところ腫瘤は縮小し,腹痛も軽快した.腫瘤は移動性であり,腸間膜病変が疑われた.抗菌薬中止後も腫瘤は縮小を続けたが,初回CTから6カ月目のCTにて新たに傍大動脈リンパ節腫大が出現した.悪性リンパ腫を念頭に置き,開腹生検を施行した.移動性の病変は腫大した腸間膜リンパ節であった.病理組織学的検査結果所見は,腸間膜リンパ節,傍大動脈リンパ節ともにdiffuse large B-c...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 4; pp. 962 - 967 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2013
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.74.962 |
Cover
Summary: | 症例は53歳の女性で,胃粘膜下腫瘍に対し腹腔鏡補助下幽門側胃切除を施行し,胃異所性膵の診断であった.術後3カ月目に腹部全体の鈍痛が出現したためCT検査を行ったところ,腹腔内に膿瘍様の腫瘤が認められた.抗菌薬内服で経過観察としたところ腫瘤は縮小し,腹痛も軽快した.腫瘤は移動性であり,腸間膜病変が疑われた.抗菌薬中止後も腫瘤は縮小を続けたが,初回CTから6カ月目のCTにて新たに傍大動脈リンパ節腫大が出現した.悪性リンパ腫を念頭に置き,開腹生検を施行した.移動性の病変は腫大した腸間膜リンパ節であった.病理組織学的検査結果所見は,腸間膜リンパ節,傍大動脈リンパ節ともにdiffuse large B-cell lymphomaであった.術後10カ月現在,R-CHOP療法8コース施行し完全寛解を維持している.CT所見と経過から,術後膿瘍との鑑別に苦慮した症例であった. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.74.962 |