破裂により急性腹症を呈した小腸間膜デスモイドの1例

症例は54歳,女性.発熱と腹痛を主訴に当院救急外来を受診し,腹膜刺激症状と腹部造影CTにて8cm大の腹腔内腫瘍と周囲にfree air,腹水貯留を認めた.小腸もしくは小腸間膜由来の間質系腫瘍による腸管穿孔が疑われ,緊急開腹手術を施行した.開腹すると小腸間膜に8cm大の平滑な腫瘍を認め,一部横行結腸に浸潤していた.腫瘍が回結腸静脈根部に浸潤していたため楔状切除し,小腸と横行結腸を合併切除し腸間膜腫瘍を摘出した.術後病理検査でデスモイド型線維腺腫と診断し,腫瘍は横行結腸に浸潤していたが明らかな穿孔所見はなく,腫瘍内に膿瘍を認め同部位が穿孔していた.小腸間膜デスモイドの破裂により急性腹症を呈した1例...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 2; pp. 368 - 372
Main Authors 北川, 浩樹, 伊富貴, 雄太, 吉満, 政義, 小橋, 俊彦, 金子, 真弓, 恵美, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.368

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Summary:症例は54歳,女性.発熱と腹痛を主訴に当院救急外来を受診し,腹膜刺激症状と腹部造影CTにて8cm大の腹腔内腫瘍と周囲にfree air,腹水貯留を認めた.小腸もしくは小腸間膜由来の間質系腫瘍による腸管穿孔が疑われ,緊急開腹手術を施行した.開腹すると小腸間膜に8cm大の平滑な腫瘍を認め,一部横行結腸に浸潤していた.腫瘍が回結腸静脈根部に浸潤していたため楔状切除し,小腸と横行結腸を合併切除し腸間膜腫瘍を摘出した.術後病理検査でデスモイド型線維腺腫と診断し,腫瘍は横行結腸に浸潤していたが明らかな穿孔所見はなく,腫瘍内に膿瘍を認め同部位が穿孔していた.小腸間膜デスモイドの破裂により急性腹症を呈した1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.368