急性型•慢性型頸部放線菌症の検討

放線菌症はActinomyces israeliiが原因となることが多く,顔面頸部領域は好発部位の1つである.同症は急性型と慢性型の2型に分類されるが,最近は抗生物質の使用のため,多くは慢性化膿性肉芽性疾患として経験するようになった.今回我々は,細菌学的検査にて確定診断できた急性型と,病理組織学的検査にて確定診断できた慢性型の,頸部放線菌症2症例を経験した.急性型では,症状が短期間で広範囲になることがあり,診断や治療が遅れると死亡する可能性もある.慢性型では,症状はほぼ固定した頸部腫瘤としてみられるが,悪性疾患や結核などと誤診されることもある.両者とも外科的治療と長期間抗生物質の投与が必要であ...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 103; no. 11; pp. 1238 - 1241
Main Authors 森脇, 計博, 加藤, 崇, 坂田, 義治, 澤田, 俊子, 長井, 美樹, 宇野, 敦彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2000
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.103.1238

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Summary:放線菌症はActinomyces israeliiが原因となることが多く,顔面頸部領域は好発部位の1つである.同症は急性型と慢性型の2型に分類されるが,最近は抗生物質の使用のため,多くは慢性化膿性肉芽性疾患として経験するようになった.今回我々は,細菌学的検査にて確定診断できた急性型と,病理組織学的検査にて確定診断できた慢性型の,頸部放線菌症2症例を経験した.急性型では,症状が短期間で広範囲になることがあり,診断や治療が遅れると死亡する可能性もある.慢性型では,症状はほぼ固定した頸部腫瘤としてみられるが,悪性疾患や結核などと誤診されることもある.両者とも外科的治療と長期間抗生物質の投与が必要である.これら放線菌症2症例の臨床経過と若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.103.1238