単孔式腹腔鏡手術を施行した子宮広間膜ヘルニアによる絞扼性腸閉塞の1例

症例は38歳,女性。下腹部痛を自覚し,近医より腸閉塞の疑いで当院へ紹介された。腹部CT検査で子宮広間膜ヘルニアと診断し,同日緊急手術を施行した。手術は単孔式腹腔鏡下に行った。腹腔内を観察すると子宮広間膜の裂孔に回腸が嵌入し,絞扼していた。嵌頓小腸を整復し,裂孔を縫合閉鎖した。気腹を終了後,小腸を臍創より挙上して壊死所見がないことを直視下に確認し手術を終了した。絞扼性腸閉塞は嵌頓腸管の腸管切除の必要性の評価が非常に重要である。腹腔鏡下手術ではその評価が視覚のみに頼らざるを得ない。本邦における過去の報告例では,嵌頓小腸の評価目的および切除目的に開腹移行となっている症例を認める。単孔式腹腔鏡手術は,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 5; pp. 881 - 885
Main Authors 豊田, 和宏, 木建, 薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.39.881

Cover

More Information
Summary:症例は38歳,女性。下腹部痛を自覚し,近医より腸閉塞の疑いで当院へ紹介された。腹部CT検査で子宮広間膜ヘルニアと診断し,同日緊急手術を施行した。手術は単孔式腹腔鏡下に行った。腹腔内を観察すると子宮広間膜の裂孔に回腸が嵌入し,絞扼していた。嵌頓小腸を整復し,裂孔を縫合閉鎖した。気腹を終了後,小腸を臍創より挙上して壊死所見がないことを直視下に確認し手術を終了した。絞扼性腸閉塞は嵌頓腸管の腸管切除の必要性の評価が非常に重要である。腹腔鏡下手術ではその評価が視覚のみに頼らざるを得ない。本邦における過去の報告例では,嵌頓小腸の評価目的および切除目的に開腹移行となっている症例を認める。単孔式腹腔鏡手術は,創部を延長することなく絞扼腸管を直視下に観察でき,さらに腸管切除が必要な場合も対応可能であり,絞扼性腸閉塞に対して有用な術式の1つである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.881