腹腔鏡下に摘出した50mm大の腹腔内遊離体の1例

患者は78歳,男性.前立腺肥大で通院中,画像検査で膀胱腹側に50mm大の腫瘤を認めた.平滑筋腫や腹腔内遊離体等が疑われたが確定診断には至らず,診断および治療のため腹腔鏡下に摘出術を施行した.骨盤腔内を観察すると,周囲から完全に遊離した白色卵形腫瘤を認め,腹腔内遊離体と判断した.組織学的には,壊死脂肪織を核として同心円状に硝子様物質が層構造を形成していた.遊離して器質化した壊死腹膜垂が原因と推測された.腹腔内遊離体は中心に脂肪や石灰化を認め,その周囲に線維組織を反映する特徴的な画像を呈することが多い.術前に腹腔内遊離体の存在を考慮して腹腔鏡下手術を選択できれば非常に有用と考えられた....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 2; pp. 569 - 572
Main Authors 浅羽, 雄太郎, 佐藤, 智仁, 三宅, 隆史, 水上, 泰延, 鈴木, 正彦, 宇治, 誠人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.569

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Summary:患者は78歳,男性.前立腺肥大で通院中,画像検査で膀胱腹側に50mm大の腫瘤を認めた.平滑筋腫や腹腔内遊離体等が疑われたが確定診断には至らず,診断および治療のため腹腔鏡下に摘出術を施行した.骨盤腔内を観察すると,周囲から完全に遊離した白色卵形腫瘤を認め,腹腔内遊離体と判断した.組織学的には,壊死脂肪織を核として同心円状に硝子様物質が層構造を形成していた.遊離して器質化した壊死腹膜垂が原因と推測された.腹腔内遊離体は中心に脂肪や石灰化を認め,その周囲に線維組織を反映する特徴的な画像を呈することが多い.術前に腹腔内遊離体の存在を考慮して腹腔鏡下手術を選択できれば非常に有用と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.569