腹腔鏡下結腸切除を施行した下部消化管出血へのTAE施行後腸管壊死の1例

症例は65歳,男性.下血を主訴に受診.CT(computed tomography)検査で上行結腸に造影剤のpoolingを認め,消化管出血が疑われた.上行結腸出血と診断し,interventional radiology (IVR)による止血を選択した.中結腸動脈の右枝に対して金属コイルによる動脈塞栓術(TAE)を施行.次に,右結腸動脈の末梢からコイルを挿入しようとしたが,挿入が困難であった.このため,ヒストアクリルとリピオドールを注入してTAEを施行し阻血を得た.塞栓後3日目に発熱と軽度の腹痛を認めた.造影CT検査で,結腸の一部には造影効果がみられず,腸管壊死と診断.腹腔鏡下右半結腸切除術...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 112 - 116
Main Authors 山口, 拓也, 平賀, 俊, 戸口, 景介, 冨岡, 百合子, 石田, ゆみ, 今井, 稔, 木野, 茂生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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Summary:症例は65歳,男性.下血を主訴に受診.CT(computed tomography)検査で上行結腸に造影剤のpoolingを認め,消化管出血が疑われた.上行結腸出血と診断し,interventional radiology (IVR)による止血を選択した.中結腸動脈の右枝に対して金属コイルによる動脈塞栓術(TAE)を施行.次に,右結腸動脈の末梢からコイルを挿入しようとしたが,挿入が困難であった.このため,ヒストアクリルとリピオドールを注入してTAEを施行し阻血を得た.塞栓後3日目に発熱と軽度の腹痛を認めた.造影CT検査で,結腸の一部には造影効果がみられず,腸管壊死と診断.腹腔鏡下右半結腸切除術を施行.病理結果から憩室出血と診断.下部消化管の出血性病変に対してIVRが選択される症例も多く,合併症に対する認識が重要である.また,このような腸管壊死に対しても腹腔鏡下手術は可能である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.112