腋窩リンパ節転移陽性でG-CSF産生が疑われた原発不明腺癌の1例

右腋窩腫瘤と上肢の痺れを主訴に近医を受診し,右腋窩のリンパ節腫大と白血球増多がみられたため腋窩のリンパ節炎として治療が行われていたが,反応がみられないため当院へ紹介された.腫瘍は右腋窩に6×5cmの大きさで,弾性硬,境界明瞭,可動性不良であった.針生検の結果,腺癌のリンパ節転移疑いと診断された.各種検査を行ったが,原発巣は不明であった.FDG-PET検査において右腋窩腫瘤と体幹部骨組織にびまん性にFDG集積を認めたため,血中G-CSF値を測定すると高値を示した.腫瘤摘出後には白血球数および血中G-CSF値は正常になった.抗G-CSFモノクローナル抗体を用いた免疫染色ではG-CSFの存在は証明さ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 4; pp. 643 - 647
Main Authors 浦田, 久志, 西川, 隆太郎, 森本, 雄貴, 横江, 毅, 奥川, 喜永, 三木, 誓雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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Summary:右腋窩腫瘤と上肢の痺れを主訴に近医を受診し,右腋窩のリンパ節腫大と白血球増多がみられたため腋窩のリンパ節炎として治療が行われていたが,反応がみられないため当院へ紹介された.腫瘍は右腋窩に6×5cmの大きさで,弾性硬,境界明瞭,可動性不良であった.針生検の結果,腺癌のリンパ節転移疑いと診断された.各種検査を行ったが,原発巣は不明であった.FDG-PET検査において右腋窩腫瘤と体幹部骨組織にびまん性にFDG集積を認めたため,血中G-CSF値を測定すると高値を示した.腫瘤摘出後には白血球数および血中G-CSF値は正常になった.抗G-CSFモノクローナル抗体を用いた免疫染色ではG-CSFの存在は証明されなかった.術後化学療法は行わず,術後約2年になるが,再発なく経過しているG-CSF産生が疑われた原発不明腋窩リンパ節転移腺癌を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.643