尿路感染症が原因と考えられる門脈ガス血症を伴う急性汎発性腹膜炎の1例
症例は74歳,男性.約10日前から自覚していた下腹部痛が急激に増悪し救急搬送された.腹部は板状硬で筋性防御を認め,血液検査では炎症反応高値,血小板数減少,急性腎不全を伴っていた.CT検査では骨盤腔に内部にガスを伴う液体貯留を認め,腹腔内遊離ガスと門脈ガス血症を伴っていた.以上より,下部消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎を疑い緊急開腹手術を施行した.膀胱背側の腹膜外腔には壊死組織と凝血が貯留していたが,観察範囲内では明らかな消化管穿孔や膀胱穿孔は認めなかった.洗浄ドレナージ後に下行結腸に人工肛門を造設した.患者は約1カ月前に尿路感染症にて入院加療歴があり,後日,当院での血液・尿,手術時の腹水培養全...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 1; pp. 143 - 146 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2017
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.78.143 |
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Summary: | 症例は74歳,男性.約10日前から自覚していた下腹部痛が急激に増悪し救急搬送された.腹部は板状硬で筋性防御を認め,血液検査では炎症反応高値,血小板数減少,急性腎不全を伴っていた.CT検査では骨盤腔に内部にガスを伴う液体貯留を認め,腹腔内遊離ガスと門脈ガス血症を伴っていた.以上より,下部消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎を疑い緊急開腹手術を施行した.膀胱背側の腹膜外腔には壊死組織と凝血が貯留していたが,観察範囲内では明らかな消化管穿孔や膀胱穿孔は認めなかった.洗浄ドレナージ後に下行結腸に人工肛門を造設した.患者は約1カ月前に尿路感染症にて入院加療歴があり,後日,当院での血液・尿,手術時の腹水培養全てから前医での尿路感染症の原因であったCitrobacter Koseriを検出した.以上より,尿路感染症が原因で急性汎発性腹膜炎および門脈ガス血症を呈したと考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.78.143 |