横行結腸癌が胃結腸瘻を形成した同時性多発大腸癌の1例

症例は64歳の男性.全身倦怠感と眩暈を主訴に近医を受診.低蛋白血症と胃体部大弯の隆起性病変を指摘され,当院紹介となった.初診時,著明な体幹の羸痩と四肢の浮腫がみられ,未消化下痢と口からの便臭を認めた.精査にて,胃結腸瘻を伴う横行結腸癌と同時性のRb領域の進行直腸癌と診断された.経腸栄養等で栄養状態の改善を図ったが効果なく,先ず左結腸切除+胃大弯側部分切除+脾摘出術によって腫瘤を切除し,横行結腸人工肛門と下行結腸粘液瘻を造設した.術後栄養状態の改善を待って,初回手術から49日後に直腸癌巣切除のためHartmann手術を行った.いずれの癌病巣もtub1,int,INFβ,ly0,v0で,二期手術で...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 121 - 127
Main Authors 高橋, 道長, 後藤, 慎二, 上野, 達也, 佐藤, 俊, 前田, 晋平, 内藤, 広郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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Summary:症例は64歳の男性.全身倦怠感と眩暈を主訴に近医を受診.低蛋白血症と胃体部大弯の隆起性病変を指摘され,当院紹介となった.初診時,著明な体幹の羸痩と四肢の浮腫がみられ,未消化下痢と口からの便臭を認めた.精査にて,胃結腸瘻を伴う横行結腸癌と同時性のRb領域の進行直腸癌と診断された.経腸栄養等で栄養状態の改善を図ったが効果なく,先ず左結腸切除+胃大弯側部分切除+脾摘出術によって腫瘤を切除し,横行結腸人工肛門と下行結腸粘液瘻を造設した.術後栄養状態の改善を待って,初回手術から49日後に直腸癌巣切除のためHartmann手術を行った.いずれの癌病巣もtub1,int,INFβ,ly0,v0で,二期手術では下腸間膜動脈周囲のリンパ節転移を認めた(4/12).二期手術の術前に判明していたS6の肝転移巣に対しては化学療法を施行.初回手術後5年4カ月で肝転移の増大と遠隔リンパ節転移のため死亡した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.121