直腸癌術後25日目発症のtoxic shock syndromeの1例
術後のtoxic shock syndrome(TSS)の報告は多いが,多くは術後急性期の発症である.今回,直腸癌術後に軽快退院後,術後25日目に発症したTSSを経験したため報告する.症例は62歳の男性.便行頻回で発症した進行直腸癌に対し,直腸切断術,両側側方郭清を施行した.術後経過は良好で術後8病日に軽快退院となった.3日前からの下痢で術後28日目に当院救急外来を受診した.脱水症の診断で入院後,急速に進行した低血圧・末梢循環不全・意識障害を認め,敗血症性ショックとして集学的治療を行うも,播種性血管内凝固症候群・多臓器不全が急速に進行し,入院70時間後に死亡した.病理解剖・細菌検査結果より,骨...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 2; pp. 393 - 398 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.77.393 |
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Summary: | 術後のtoxic shock syndrome(TSS)の報告は多いが,多くは術後急性期の発症である.今回,直腸癌術後に軽快退院後,術後25日目に発症したTSSを経験したため報告する.症例は62歳の男性.便行頻回で発症した進行直腸癌に対し,直腸切断術,両側側方郭清を施行した.術後経過は良好で術後8病日に軽快退院となった.3日前からの下痢で術後28日目に当院救急外来を受診した.脱水症の診断で入院後,急速に進行した低血圧・末梢循環不全・意識障害を認め,敗血症性ショックとして集学的治療を行うも,播種性血管内凝固症候群・多臓器不全が急速に進行し,入院70時間後に死亡した.病理解剖・細菌検査結果より,骨盤リンパ嚢胞のMRSA感染に伴うTSSと診断された.術後3週間以降に発症したTSSの報告は稀であるが,術後の発疹を伴う敗血症の際には,TSSの可能性もある. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.77.393 |