直腸癌異時性膵転移の1例

症例は69歳,男性.9年前に直腸癌(T1bN0M0 Stage I)に対し,直腸高位前方切除術を施行後,外来経過観察を行っていた.術後5年目に肝転移を認め,肝S5/6部分切除術を施行し,さらに術後8年目に膵腫瘤と肺腫瘤を認めた.肺腫瘤に対して切除術を行ったところ,病理検査では直腸癌肺転移と診断された.膵腫瘤は,腹部CT検査では約20mm大の膵鉤部乏血性腫瘤であり,FDG-PET/CT検査ではFDGの異常集積を伴っていた.原発性膵癌または直腸癌膵転移の術前診断のもと,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本の病理組織検査では,原発の直腸癌組織と類似した高分化型管状腺癌像を認め,免疫組織化...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 3; pp. 597 - 602
Main Authors 畠野, 尚典, 朴, 聖愛, 富丸, 慶人, 堂野, 恵三, 足立, 史朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.597

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Summary:症例は69歳,男性.9年前に直腸癌(T1bN0M0 Stage I)に対し,直腸高位前方切除術を施行後,外来経過観察を行っていた.術後5年目に肝転移を認め,肝S5/6部分切除術を施行し,さらに術後8年目に膵腫瘤と肺腫瘤を認めた.肺腫瘤に対して切除術を行ったところ,病理検査では直腸癌肺転移と診断された.膵腫瘤は,腹部CT検査では約20mm大の膵鉤部乏血性腫瘤であり,FDG-PET/CT検査ではFDGの異常集積を伴っていた.原発性膵癌または直腸癌膵転移の術前診断のもと,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本の病理組織検査では,原発の直腸癌組織と類似した高分化型管状腺癌像を認め,免疫組織化学染色では原発巣同様のCK7(-)・CK20(+)の染色パターンを示したことから,直腸癌膵転移と診断された.膵転移切除後12カ月経過した現在,明らかな再発の徴候は無く,外来経過観察中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.597