視力障害をきたした鼻副鼻腔疾患の臨床的検討

視神経と副鼻腔は極めて隣接した解剖学的位置関係にあるため,副鼻腔疾患により視神経障害をきたすことがあり,視神経障害が不可逆的になる前に早急な加療を必要とする。2008年4月から2014年3月までの6年間に当科にて加療した視力障害をきたした鼻副鼻腔疾患15例を検討した。性別は男性10例,女性5例で,年齢は9歳から81歳で平均年齢63.2歳であった。悪性腫瘍によるものは除外した。15例中,副鼻腔嚢胞によるものが7例,急性副鼻腔炎あるいは副鼻腔嚢胞感染から眼窩内合併症をきたしたものが4例,真菌症によるものが4例であった。すべての症例で内視鏡下副鼻腔手術(ESS)を施行し,そのうち1例は開頭術を併用し...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 55; no. 1; pp. 13 - 20
Main Authors 山本, 卓典, 上條, 篤, 田中, 翔太, 増山, 敬佑, 松岡, 伴和, 金井, 真理, 初鹿, 恭介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2016
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.55.13

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Summary:視神経と副鼻腔は極めて隣接した解剖学的位置関係にあるため,副鼻腔疾患により視神経障害をきたすことがあり,視神経障害が不可逆的になる前に早急な加療を必要とする。2008年4月から2014年3月までの6年間に当科にて加療した視力障害をきたした鼻副鼻腔疾患15例を検討した。性別は男性10例,女性5例で,年齢は9歳から81歳で平均年齢63.2歳であった。悪性腫瘍によるものは除外した。15例中,副鼻腔嚢胞によるものが7例,急性副鼻腔炎あるいは副鼻腔嚢胞感染から眼窩内合併症をきたしたものが4例,真菌症によるものが4例であった。すべての症例で内視鏡下副鼻腔手術(ESS)を施行し,そのうち1例は開頭術を併用した。症状発症から加療開始までの期間は2日から5年であり,中央値は12日であった。視力障害に対しての治療効果は眼科検査及び自覚症状ともに改善したものは10例,不変は2例,悪化は3例であった。悪化した3症例はすべて真菌症であり,そのうち2症例は肥厚性硬膜炎を合併しており,抗真菌薬併用の上でステロイド薬の投与を行った。しかし,一時的な視力の改善は得られたが,最終的には全盲になった。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.55.13