免疫染色と遺伝子検査で確診した小腸平滑筋肉腫の1例
症例は76歳の女性で,発熱と腹痛,体重減少を主訴に当院を紹介受診した.腹部CT検査で骨盤腔に腸重積をきたした小腸腫瘍を認め,小腸部分切除術を施行した.周囲への浸潤や播種,腫大リンパ節は認めなかった.腫瘍は大きさ65×40×30mmの表面平滑な充実性腫瘤で,病理組織学的所見では核異型や異常核分裂像が著明な紡錘形細胞が錯綜増生しており,免疫染色検査ではKIT・CD34・S100が陰性,α-SMA・Desminが陽性であり,GIST診療ガイドラインとWHO Classification of Tumors of the Digestive Systemの定義に則り小腸平滑筋肉腫と診断した.さらに,D...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 844 - 848 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2016
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Summary: | 症例は76歳の女性で,発熱と腹痛,体重減少を主訴に当院を紹介受診した.腹部CT検査で骨盤腔に腸重積をきたした小腸腫瘍を認め,小腸部分切除術を施行した.周囲への浸潤や播種,腫大リンパ節は認めなかった.腫瘍は大きさ65×40×30mmの表面平滑な充実性腫瘤で,病理組織学的所見では核異型や異常核分裂像が著明な紡錘形細胞が錯綜増生しており,免疫染色検査ではKIT・CD34・S100が陰性,α-SMA・Desminが陽性であり,GIST診療ガイドラインとWHO Classification of Tumors of the Digestive Systemの定義に則り小腸平滑筋肉腫と診断した.さらに,DOG1免疫染色検査が陰性で,c-kit遺伝子とPDGFRA遺伝子検査の変異を認めずGISTは完全に否定された.小腸平滑筋肉腫は稀な疾患で,確定診断には免疫染色検査と遺伝子検査が重要である. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.77.844 |