急性輸入脚症候群術後に発症した重症Aeromonas punctata敗血症の1例

Aeromonas属菌は,一般に病原性は弱いとされるが,糖尿病や肝硬変などの基礎疾患を有する症例では,敗血症を引き起こし急激な経過で死亡することがある.これまで周術期感染症の原因菌としての報告は少ないが,今回,急性輸入脚症候群術後に急激な経過を辿った重症Aeromonas punctata敗血症の1例を経験した.症例は64歳の男性で,急性輸入脚症候群の手術後2日目に著明な血小板の低下と筋原性酵素の上昇ならびに右鼠径部より発症し時間単位で急激に進行する紫斑と腫脹を認めた.右大腿皮下軟部組織からの生検でグラム陰性桿菌を検出し,術後壊死性軟部組織感染症の診断で,計3回にわたり体幹から両下肢のデブリド...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 3; pp. 692 - 698
Main Authors 藤田, 敏忠, 山田, 武男, 貝塚, 真知子, 小林, 義典, 濱口, 實, 浜辺, 太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.692

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Summary:Aeromonas属菌は,一般に病原性は弱いとされるが,糖尿病や肝硬変などの基礎疾患を有する症例では,敗血症を引き起こし急激な経過で死亡することがある.これまで周術期感染症の原因菌としての報告は少ないが,今回,急性輸入脚症候群術後に急激な経過を辿った重症Aeromonas punctata敗血症の1例を経験した.症例は64歳の男性で,急性輸入脚症候群の手術後2日目に著明な血小板の低下と筋原性酵素の上昇ならびに右鼠径部より発症し時間単位で急激に進行する紫斑と腫脹を認めた.右大腿皮下軟部組織からの生検でグラム陰性桿菌を検出し,術後壊死性軟部組織感染症の診断で,計3回にわたり体幹から両下肢のデブリドマンを行った.のちに,初回手術の腹水・血液培養・切除した組織からAeromonas punctataを認めた.術後縫合不全も併発したが,最終的に第110病日に独歩退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.692