炎症性腸疾患における中心静脈カテーテル関連血流感染リスク因子の検討

潰瘍性大腸炎(UC),クローン病(CD)などの炎症性腸疾患(IBD)は,入院加療時,高率に中心静脈カテーテル(CVC)を挿入する.今回,IBD患者における中心静脈カテーテル関連血流感染(CLABSI)リスク因子について調査した.調査項目は,宿主に関連した13因子,カテーテル管理3因子および疾患活動性を評価した.対象のIBD患者は562例で,UC 228例(40.6%),CD 334例(59.4%)であった.感染率はIBD全体で9.6%,UC 8.3%,CD 10.5%で(P=0.397)1,000 device-daysでは各々4.9,4.4,5.3であり(P=0.501),UCとCDの感染率...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 34; no. 6; pp. 296 - 301
Main Authors 石川, かおり, 竹末, 芳生, 一木, 薫, 土田, 敏恵, 中嶋, 一彦, 植田, 貴史, 山田, 久美子, 高橋, 佳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.11.2019
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Summary:潰瘍性大腸炎(UC),クローン病(CD)などの炎症性腸疾患(IBD)は,入院加療時,高率に中心静脈カテーテル(CVC)を挿入する.今回,IBD患者における中心静脈カテーテル関連血流感染(CLABSI)リスク因子について調査した.調査項目は,宿主に関連した13因子,カテーテル管理3因子および疾患活動性を評価した.対象のIBD患者は562例で,UC 228例(40.6%),CD 334例(59.4%)であった.感染率はIBD全体で9.6%,UC 8.3%,CD 10.5%で(P=0.397)1,000 device-daysでは各々4.9,4.4,5.3であり(P=0.501),UCとCDの感染率には差を認めなかった.CLABSIの独立したリスク因子は,UCでは生物学的製剤の使用(OR:4.98,95% CI:1.81-13.69),CDでは,男性(OR:5.38,95%CI:1.85-15.64),疾患活動性 重症/中等症(OR:2.54,95%CI:1.20-5.38)であった.週2回以上の入浴/シャワー浴はUC,CDともにリスク低減因子であった(UC:0.17,0.06-0.44,CD:0.33,0.15-0.72).一般的なCLABSIリスク因子とは異なったIBD特有のリスク因子が示され,日常管理として入浴/シャワー浴の重要性が示された.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.34.296