Turner 症候群に合併した著明な上行基部大動脈拡大の1手術例

症例は30歳の女性で自覚症状は特になかった.6歳時にTurner症候群と診断され,以後定期外来通院していたが18歳時に通院を自己中断した.30歳になり就職を契機に外来受診したところ無症状ながらも上行基部大動脈の著明な拡大(最大径70 mm)と重度の大動脈弁閉鎖不全症を指摘され,手術目的で当院紹介となった.手術は正中切開でアプローチしBentall手術を施行した.術後は経過良好にて合併症なく退院している.Turner症候群は高率に大動脈解離を発症することがしられており,上行大動脈瘤を認めた症例は若年でも外科的介入を行う場合が少なくない.未成年期より10年以上の通院中断を経て偶然発見された上行基部...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 45; no. 1; pp. 21 - 25
Main Authors 中川, 博文, 南淵, 明宏, 寺田, 拡仁, 宮崎, 卓也, 奥山, 浩, 遠藤, 真弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2016
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Summary:症例は30歳の女性で自覚症状は特になかった.6歳時にTurner症候群と診断され,以後定期外来通院していたが18歳時に通院を自己中断した.30歳になり就職を契機に外来受診したところ無症状ながらも上行基部大動脈の著明な拡大(最大径70 mm)と重度の大動脈弁閉鎖不全症を指摘され,手術目的で当院紹介となった.手術は正中切開でアプローチしBentall手術を施行した.術後は経過良好にて合併症なく退院している.Turner症候群は高率に大動脈解離を発症することがしられており,上行大動脈瘤を認めた症例は若年でも外科的介入を行う場合が少なくない.未成年期より10年以上の通院中断を経て偶然発見された上行基部大動脈瘤と大動脈弁閉鎖不全症を有する成人Turner症候群患者が長期にわたり心血管イベントの発生なく無症状で経過したことについて,本症例の遺伝子型がモザイク型であることが重要な要因であると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.45.21