経皮的冠動脈形成術後の後腹膜出血にステントグラフト内挿術を用いた1例

症例は62歳,男性.既往に慢性腎不全に対する腎移植があり,現在,移植腎不全のため血液透析を導入されている.抗血小板薬を内服中であった.予定入院後,狭心症の疑いに対して経皮的冠動脈形成術を施行された.術後血圧低下あり,造影CTにて造影剤の漏出を伴う巨大な後腹膜血腫を認めた.緊急で腹部血管造影を行ったところ上位腰動脈からの出血が疑われたが,マイクロカテーテルの選択的挿入に難渋したため,急遽ステントグラフト内挿術に方針を変更した.上腸間膜動脈直下から総腸骨動脈分岐部直上までステントグラフトを留置し,止血を得た.術後容態は安定し,第8病日に退院となった.後腹膜出血はカテーテル操作の合併症や外傷性,また...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 5; pp. 946 - 950
Main Authors 池谷, 佑樹, 荻野, 秀光, 河内, 順, 渡部, 和巨, ブランチ, ジョエル, 清水, 大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.946

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Summary:症例は62歳,男性.既往に慢性腎不全に対する腎移植があり,現在,移植腎不全のため血液透析を導入されている.抗血小板薬を内服中であった.予定入院後,狭心症の疑いに対して経皮的冠動脈形成術を施行された.術後血圧低下あり,造影CTにて造影剤の漏出を伴う巨大な後腹膜血腫を認めた.緊急で腹部血管造影を行ったところ上位腰動脈からの出血が疑われたが,マイクロカテーテルの選択的挿入に難渋したため,急遽ステントグラフト内挿術に方針を変更した.上腸間膜動脈直下から総腸骨動脈分岐部直上までステントグラフトを留置し,止血を得た.術後容態は安定し,第8病日に退院となった.後腹膜出血はカテーテル操作の合併症や外傷性,または特発性のものとして生じるが,いずれの原因であっても致死率の高い疾患である.治療の第一選択はカテーテル塞栓術であるが,選択的挿入が難しい場合にはステントグラフト内挿術も有用であると考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.946