自己免疫性膵炎における血中IgG4高値例と低値例との臨床病理学的差異についての検討

背景と目的 自己免疫性膵炎は膵腫大, 膵管狭細像, 高ガンマグロブリン血症, 高IgG血症, 自己抗体陽性, 膵における密なリンパ球と形質細胞の浸潤を伴う線維化等を特徴とする特殊な膵炎である1). 血中IgG4値が本症で高率に上昇し, 膵臓癌との鑑別に有用であることが報告された2). しかし, 本症における血中IgG4高値の率は施設により異なり, 最近では68%との報告がある3). 我々は, 自検の自己免疫性膵炎症例において血中IgG4高値例と低値例とで, 臨床病理学的差異があるか否かにつき検討した. 対象と方法 1990年から2004年までに, ステロイド等の治療前に血中のIgG4値を測定し...

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Published in膵臓 Vol. 21; no. 1; pp. 28 - 29
Main Authors 神澤, 輝実, 岡本, 篤武, 船田, 信顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2006
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.21.28

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Summary:背景と目的 自己免疫性膵炎は膵腫大, 膵管狭細像, 高ガンマグロブリン血症, 高IgG血症, 自己抗体陽性, 膵における密なリンパ球と形質細胞の浸潤を伴う線維化等を特徴とする特殊な膵炎である1). 血中IgG4値が本症で高率に上昇し, 膵臓癌との鑑別に有用であることが報告された2). しかし, 本症における血中IgG4高値の率は施設により異なり, 最近では68%との報告がある3). 我々は, 自検の自己免疫性膵炎症例において血中IgG4高値例と低値例とで, 臨床病理学的差異があるか否かにつき検討した. 対象と方法 1990年から2004年までに, ステロイド等の治療前に血中のIgG4値を測定した自己免疫性膵炎患者21例を対象とした. 全例で画像上膵腫大と膵管狭細像を認めた. 膵頭十二指腸切除術6例, 胆管空腸吻合と膵生検2例, エコー下膵生検1例の計9例で得られた膵の組織像は, リンパ球と形質細胞の密な浸潤を伴った線維化であった. ステロイド治療が13例で施行され, いずれも著効を示した.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.21.28