Salvage手術が必要となった食道類基底細胞癌の1例

症例は60歳,男性.進行下咽頭癌に対する治療目的に当院耳鼻咽喉科へ入院.その際,胸部中部食道に0-Is病変を指摘,生検にて類基底細胞癌と診断した.同時性2重複癌であったが,予後規定因子が進行下咽頭癌であり患者の手術希望もなかったことから,進行下咽頭癌の治療を先行させた.化学放射線療法 (CRT)を施行し下咽頭癌,食道癌ともに完全奏効を得た.経過観察中,1年後に食道癌の局所再発を認め,CRT後の食道癌再発と診断しsalvage手術を行った.病理組織学的診断はStage Iであった.術後約4年10カ月を経過(全経過7年)したが,現在無再発生存中である.食道に対してsalvage手術を施行した報告は...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 3; pp. 678 - 682
Main Authors 西原, 佑一, 石, 志紘, 徳山, 丞, 浦上, 秀次郎, 島田, 敦, 磯部, 陽, 前島, 新史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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Summary:症例は60歳,男性.進行下咽頭癌に対する治療目的に当院耳鼻咽喉科へ入院.その際,胸部中部食道に0-Is病変を指摘,生検にて類基底細胞癌と診断した.同時性2重複癌であったが,予後規定因子が進行下咽頭癌であり患者の手術希望もなかったことから,進行下咽頭癌の治療を先行させた.化学放射線療法 (CRT)を施行し下咽頭癌,食道癌ともに完全奏効を得た.経過観察中,1年後に食道癌の局所再発を認め,CRT後の食道癌再発と診断しsalvage手術を行った.病理組織学的診断はStage Iであった.術後約4年10カ月を経過(全経過7年)したが,現在無再発生存中である.食道に対してsalvage手術を施行した報告は本例が初例であり,今後も症例を蓄積して検討していく必要があると考えられるが,Stage Iの類基底細胞癌に対するCRTは根治性に乏しく,手術も含めた集学的治療が必要である可能性が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.678