急速に増大して吐血をきたし,緊急胃全摘を施行した胃GISTの1例

症例は64歳,男性。平成20年当院で施行された上部消化管内視鏡検査で胃穹窿部に4mm大の粘膜下腫瘍を指摘された。その後1年毎の内視鏡フォローを行い,2011年7月の時点で大きさは7mmであった。2012年12月黒色便,吐血をきたし当院救急搬送となった。上部消化管内視鏡検査では胃穹窿部に巨大な潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を認め,活動性の出血を伴っていた。内視鏡的止血術では出血の制御が困難であったことから,緊急胃全摘術を施行した。患者は術後9日目に軽快退院となった。臨床経過,および術後病理診断より高リスクのGastrointestinal stromal tumorと診断され,現在イマチニブ投与中である。...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 161 - 165
Main Authors 工藤, 道弘, 塩崎, 敦, 森村, 玲, 岡本, 和真, 阪倉, 長平, 大辻, 英吾, 栗生, 宜明, 窪田, 健, 小松, 周平, 小西, 博貴, 村山, 康利, 中西, 正芳, 藤原, 斉, 生駒, 久視, 市川, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.161

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Summary:症例は64歳,男性。平成20年当院で施行された上部消化管内視鏡検査で胃穹窿部に4mm大の粘膜下腫瘍を指摘された。その後1年毎の内視鏡フォローを行い,2011年7月の時点で大きさは7mmであった。2012年12月黒色便,吐血をきたし当院救急搬送となった。上部消化管内視鏡検査では胃穹窿部に巨大な潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を認め,活動性の出血を伴っていた。内視鏡的止血術では出血の制御が困難であったことから,緊急胃全摘術を施行した。患者は術後9日目に軽快退院となった。臨床経過,および術後病理診断より高リスクのGastrointestinal stromal tumorと診断され,現在イマチニブ投与中である。胃粘膜下腫瘍は2cm未満,悪性所見がなければ年1~2回の内視鏡フォローで良いとされているが,本症例のごとく短期間に急速増大し,破裂をきたす症例も存在することから,慎重な経過観察が必要と考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.161