腹腔内血腫との鑑別が困難であった大網原発GISTの1例

症例は58歳,男性。左季肋部痛を主訴に近医受診し,CTで腹腔内の囊胞性病変を認めたため当科紹介となった。腹腔内血腫を疑い吸引細胞診を行うも,間質成分と血液成分を認めるのみであった。本人の希望もあり経過観察するも腫瘤の縮小を認めず,腹腔鏡下に腫瘤を摘出した。摘出された腫瘤のほとんどは血腫であったが,最外側には紡錘形や上皮様の細胞が増生していた。免疫組織化学的にはc-kitおよびCD34が陽性であり,消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:以下,GIST)と診断された。大網原発GISTは比較的珍しいだけでなく,画像上囊胞様の形態をとるのは非典型的であり,画像か...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 757 - 761
Main Authors 高橋, 雄大, 菅原, 宏文, 山田, 修平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.757

Cover

More Information
Summary:症例は58歳,男性。左季肋部痛を主訴に近医受診し,CTで腹腔内の囊胞性病変を認めたため当科紹介となった。腹腔内血腫を疑い吸引細胞診を行うも,間質成分と血液成分を認めるのみであった。本人の希望もあり経過観察するも腫瘤の縮小を認めず,腹腔鏡下に腫瘤を摘出した。摘出された腫瘤のほとんどは血腫であったが,最外側には紡錘形や上皮様の細胞が増生していた。免疫組織化学的にはc-kitおよびCD34が陽性であり,消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:以下,GIST)と診断された。大網原発GISTは比較的珍しいだけでなく,画像上囊胞様の形態をとるのは非典型的であり,画像からGISTを鑑別にあげるのは困難であった。今回われわれは腹腔内血腫との鑑別が困難であった大網原発GISTの1例を経験したので,画像上の鑑別も含めて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.757