十二指腸空腸曲近傍に発生した炎症性筋線維芽細胞性腫瘍の1例

症例は54歳の女性で,嘔吐にて当センターに入院となった.精査の結果,十二指腸空腸曲に腫瘤を認め,狭窄の原因と判断した.GISTなどの非上皮性腫瘍が考えられ,外科的切除を行った.術中所見では十二指腸空腸曲の腫瘤が腸間膜,大網,横行結腸や左腎臓を巻き込んでおり,小腸部分切除・横行結腸壁楔状切除・左腎部分切除を施行した.病理検査で炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor,以下IMTと略記)と診断された.IMTは筋線維芽細胞の特徴を有する紡錘状細胞の増殖と炎症細胞の浸潤が特徴的な病変である.肺に発生することが最も多いが,腸間膜・大網・軟部組織・消化...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 2; pp. 442 - 447
Main Authors 工藤, 進英, 向井, 俊平, 春日井, 尚, 木田, 裕之, 出口, 義雄, 尾松, 睦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.442

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Summary:症例は54歳の女性で,嘔吐にて当センターに入院となった.精査の結果,十二指腸空腸曲に腫瘤を認め,狭窄の原因と判断した.GISTなどの非上皮性腫瘍が考えられ,外科的切除を行った.術中所見では十二指腸空腸曲の腫瘤が腸間膜,大網,横行結腸や左腎臓を巻き込んでおり,小腸部分切除・横行結腸壁楔状切除・左腎部分切除を施行した.病理検査で炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor,以下IMTと略記)と診断された.IMTは筋線維芽細胞の特徴を有する紡錘状細胞の増殖と炎症細胞の浸潤が特徴的な病変である.肺に発生することが最も多いが,腸間膜・大網・軟部組織・消化管などにも発生する.以前のCT所見や発育形態から,後腹膜原発のIMTと考えられた.十二指腸空腸曲近傍の後腹膜IMTが腸閉塞を発症し,画像的に短期間での増大を確認できたまれな1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.442