乳腺転移をきたした膵神経内分泌腫瘍の1例

症例は30歳台,女性.膵神経内分泌腫瘍の術後フォロー中,左乳房腫瘤を主訴に当科受診となる.視触診にて,左乳房AC領域に約2cmの腫瘤を触知し,乳房超音波検査では27×18×17mmの不整形,境界不明瞭な低エコー腫瘤を認めた.同部位からの穿刺吸引細胞診はclass Vで,ductal carcinomaを疑う所見であった.しかし,腹部CTにて腹腔内の多発リンパ節腫大を認め,経過から膵腫瘍の再発が疑われたため,乳房腫瘤も転移である可能性を疑い,超音波ガイド下バコラ生検を施行した.病理結果は神経内分泌腫瘍の診断であり,乳腺転移の可能性が強く示唆されたが,乳腺原発の神経内分泌腫瘍の可能性を否定しきれな...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 2; pp. 382 - 386
Main Authors 大島, 一輝, 堂野, 恵三, 土井, 玲子, 赤木, 謙三, 足立, 史朗, 北田, 昌之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.382

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Summary:症例は30歳台,女性.膵神経内分泌腫瘍の術後フォロー中,左乳房腫瘤を主訴に当科受診となる.視触診にて,左乳房AC領域に約2cmの腫瘤を触知し,乳房超音波検査では27×18×17mmの不整形,境界不明瞭な低エコー腫瘤を認めた.同部位からの穿刺吸引細胞診はclass Vで,ductal carcinomaを疑う所見であった.しかし,腹部CTにて腹腔内の多発リンパ節腫大を認め,経過から膵腫瘍の再発が疑われたため,乳房腫瘤も転移である可能性を疑い,超音波ガイド下バコラ生検を施行した.病理結果は神経内分泌腫瘍の診断であり,乳腺転移の可能性が強く示唆されたが,乳腺原発の神経内分泌腫瘍の可能性を否定しきれなかったため,摘出生検を施行した.摘出した腫瘍には乳管内病変が存在せず,膵神経内分泌腫瘍の乳腺転移と診断した.乳癌との鑑別に難渋した膵神経内分泌腫瘍の乳腺転移という非常に稀な症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.382