簡易陰圧閉鎖療法を用いた小児胸骨正中切開後縦隔洞炎の治療

[目的]小児開心術後に生じた縦隔洞炎に対する治療では,成人の場合での治療アプローチをそのまま適応することは困難である.近年発達した陰圧閉鎖療法を当科独自に簡便化した方法を小児領域に導入し,局所の菌の陰性化を得た後に組織充填に閉胸を行っている.本治療法の妥当性を検討した.[対象と方法]開心術後中央値16(9~26)日後に胸骨離開を伴う縦隔洞炎を発症した連続7例(生後20日~3歳,体重3~15 kg)に対して本法を行った.縦隔洞炎の診断後,速やかに手術室で全身麻酔下に十分なデブリドメントを行い,感染部位すべて(縦隔,心嚢,胸腔)に創部ドレッシング用薄型ポリウレタンフォームを充填し,ドレーンを1~3...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 44; no. 2; pp. 65 - 69
Main Authors 小西, 隼人, 根本, 慎太郎, 小澤, 英樹, 打田, 裕明, 福原, 慎二, 本橋, 宜和, 勝間田, 敬弘, 島田, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2015
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.44.65

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Summary:[目的]小児開心術後に生じた縦隔洞炎に対する治療では,成人の場合での治療アプローチをそのまま適応することは困難である.近年発達した陰圧閉鎖療法を当科独自に簡便化した方法を小児領域に導入し,局所の菌の陰性化を得た後に組織充填に閉胸を行っている.本治療法の妥当性を検討した.[対象と方法]開心術後中央値16(9~26)日後に胸骨離開を伴う縦隔洞炎を発症した連続7例(生後20日~3歳,体重3~15 kg)に対して本法を行った.縦隔洞炎の診断後,速やかに手術室で全身麻酔下に十分なデブリドメントを行い,感染部位すべて(縦隔,心嚢,胸腔)に創部ドレッシング用薄型ポリウレタンフォームを充填し,ドレーンを1~3本留置の後にイソジンドレープで密閉して-99 cmH2Oで(-73 mmHgに相当)持続吸引を行った.麻酔覚醒の後に,一般病棟で行動制限のない管理を行った.2~3日ごとに同処置を繰り返し,連続2回の創部培養の陰性化を確認後に閉胸した.治療期中は抗生剤の全身投与を継続した.[結果]全例で中央値6(3~12)日で創部菌陰性化が得られた.死亡1例を除く6例は中央値13(7~19)日で閉胸可能となり,生存退院した.[結論]患児の日常生活動作を落とさず,循環動態への影響が少なく,特別な装置を要しない本治療は小児領域の縦隔洞炎に対する有効な一治療法と考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.44.65