Angio-Seal® に起因した大腿動脈狭窄性病変に対して血栓内膜摘除術を施行した1例

カテーテル挿入時の経皮的穿刺部である大腿動脈の止血に際して止血デバイスを使用することにより止血・安静時間が短縮するため,用手圧迫と比較して患者への負担の軽減および入院期間の短縮が得られる反面,いくつかの合併症も報告されている.今回われわれはこの止血デバイスの一つであるAngio-Seal® 使用後に総大腿動脈狭窄を来した症例を経験したので報告する.症例は67歳女性で他院にて右大腿動脈穿刺による脳底動脈瘤塞栓術が施行され,止血の際Angio-Seal® が使用された.術後1カ月頃より300 m歩行後の右間欠性跛行が出現した.血管エコーおよびCT Angioにて右総大腿動脈に75%狭窄を認めたため...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 45; no. 1; pp. 62 - 66
Main Authors 森本, 清貴, 川崎, 正和, 石橋, 義光, 國重, 英之, 井上, 望
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2016
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.45.62

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Summary:カテーテル挿入時の経皮的穿刺部である大腿動脈の止血に際して止血デバイスを使用することにより止血・安静時間が短縮するため,用手圧迫と比較して患者への負担の軽減および入院期間の短縮が得られる反面,いくつかの合併症も報告されている.今回われわれはこの止血デバイスの一つであるAngio-Seal® 使用後に総大腿動脈狭窄を来した症例を経験したので報告する.症例は67歳女性で他院にて右大腿動脈穿刺による脳底動脈瘤塞栓術が施行され,止血の際Angio-Seal® が使用された.術後1カ月頃より300 m歩行後の右間欠性跛行が出現した.血管エコーおよびCT Angioにて右総大腿動脈に75%狭窄を認めたため,血栓内膜摘除術が施行された.術後経過は順調で,ABIは0.82から1.15に改善,CT Angio上,右総大腿動脈の狭窄性病変は改善し,間欠性跛行も消失した.本症例は術中所見から総大腿動脈穿刺部に脳底動脈瘤塞栓術施行前より動脈硬化性病変が存在していたことが示唆され,今回の合併症発症の原因と考えられた.Angio-Seal® による合併症を予防するためにはシース挿入前にあらかじめエコー等にて穿刺部の評価を行い,デバイス使用の適応につき十分検討することが重要であると思われた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.45.62