腹腔鏡下穿孔縫縮術にて治療した小児十二指腸潰瘍穿孔の1例

小児の十二指腸潰瘍穿孔は稀な疾患であり,上部消化管穿孔では保存的加療を選択する症例が多い.しかし,全身状態や臨床症状によっては外科的加療が必要であり,本邦における小児の十二指腸穿孔の腹腔鏡手術を施行した報告例は自験例を含め6例であった.今回われわれは,十二指腸潰瘍穿孔をきたした14歳男児に対して腹腔鏡下穿孔縫縮術を施行した1例を報告する. 症例は14歳,基礎疾患に自閉症がある男児.心窩部痛を主訴に近医を受診し,鎮痛薬を処方され経過観察されるも改善無く,当院受診となった.腹部CTにて腹腔内にfree airと腹水貯留がみられ,十二指腸球部の穿孔が疑われ,腹部全体に腹膜刺激症状を認めたため腹腔鏡手...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 828 - 832
Main Authors 古谷, 裕一郎, 高嶋, 吉浩, 斎藤, 健一郎, 宗本, 義則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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Summary:小児の十二指腸潰瘍穿孔は稀な疾患であり,上部消化管穿孔では保存的加療を選択する症例が多い.しかし,全身状態や臨床症状によっては外科的加療が必要であり,本邦における小児の十二指腸穿孔の腹腔鏡手術を施行した報告例は自験例を含め6例であった.今回われわれは,十二指腸潰瘍穿孔をきたした14歳男児に対して腹腔鏡下穿孔縫縮術を施行した1例を報告する. 症例は14歳,基礎疾患に自閉症がある男児.心窩部痛を主訴に近医を受診し,鎮痛薬を処方され経過観察されるも改善無く,当院受診となった.腹部CTにて腹腔内にfree airと腹水貯留がみられ,十二指腸球部の穿孔が疑われ,腹部全体に腹膜刺激症状を認めたため腹腔鏡手術を施行した.手術所見としては十二指腸球部前壁に約2mmの穿孔があり,縫縮術を施行した.術後経過は良好であり,術後10日目に退院となった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.828