胃切後にY脚吻合部腸間膜間隙内ヘルニアによる輸入脚閉塞症をきたした1例

症例は66歳,女性。3年前に胃癌に対し幽門側胃切除,Roux-en-Y法再建術を施行し,再発なく経過観察していた。今回,夕食後に突然の腹痛を認め当院を受診した。癒着性腸閉塞の診断で保存加療目的に入院したが,翌朝に腹部症状が増悪し,肝・胆道系酵素,膵酵素の上昇を認めた。腹部造影CTを施行したところ,腸管の造影効果は保たれていたが腹水の増加と輸入脚の拡張を認め,輸入脚閉塞症と診断し緊急手術を施行した。手術所見では,Y脚吻合部腸間膜間隙に右から左へ全小腸が嵌入し絞扼されていた。小腸全体が暗赤色を呈しており,輸入脚閉塞症の原因となっていた。絞扼を解除してヘルニア門を縫合閉鎖し,手術を終了した。経過は良...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 5; pp. 913 - 916
Main Authors 奥野, 晃太, 若林, 正和, 河野, 悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2019
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Summary:症例は66歳,女性。3年前に胃癌に対し幽門側胃切除,Roux-en-Y法再建術を施行し,再発なく経過観察していた。今回,夕食後に突然の腹痛を認め当院を受診した。癒着性腸閉塞の診断で保存加療目的に入院したが,翌朝に腹部症状が増悪し,肝・胆道系酵素,膵酵素の上昇を認めた。腹部造影CTを施行したところ,腸管の造影効果は保たれていたが腹水の増加と輸入脚の拡張を認め,輸入脚閉塞症と診断し緊急手術を施行した。手術所見では,Y脚吻合部腸間膜間隙に右から左へ全小腸が嵌入し絞扼されていた。小腸全体が暗赤色を呈しており,輸入脚閉塞症の原因となっていた。絞扼を解除してヘルニア門を縫合閉鎖し,手術を終了した。経過は良好で,術後11日目に軽快退院した。Roux-en-Y法再建術を施行する場合は,Petersen’s defectのみならず,Y脚吻合部腸間膜間隙を縫合閉鎖するべきであると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.913