脳損傷理解 (UBI) グループを経験した高次脳機能障害症例の障害認識と行動変化

脳損傷者が自己の脳損傷について理解することは, アウェアネスや自尊心の向上につながるとされる。少人数の学習グループである脳損傷理解 ( understanding brain injury : UBI ) に参加した頭部外傷による高次脳機能障害の一症例の経過より, UBI を経験したことで意識や行動がどのように変化したかを検討した。結果, 症例の脳損傷に対する理解が進み, 認知障害に対する不安や孤立感が減少した。また, UBI がきっかけとなり, 易怒性を理解し, 場の雰囲気に配慮する言動が増えた。UBI の中で自己の障害を他者に開示し, 他者と共有し肯定される機会を持ったことで, 障害認識が...

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Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 39; no. 4; pp. 429 - 435
Main Authors 塚越, 千尋, 納谷, 敦夫, 俵, あゆみ, 江尻, 知穂, 蜂谷, 敦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 31.12.2019
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ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.39.429

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Summary:脳損傷者が自己の脳損傷について理解することは, アウェアネスや自尊心の向上につながるとされる。少人数の学習グループである脳損傷理解 ( understanding brain injury : UBI ) に参加した頭部外傷による高次脳機能障害の一症例の経過より, UBI を経験したことで意識や行動がどのように変化したかを検討した。結果, 症例の脳損傷に対する理解が進み, 認知障害に対する不安や孤立感が減少した。また, UBI がきっかけとなり, 易怒性を理解し, 場の雰囲気に配慮する言動が増えた。UBI の中で自己の障害を他者に開示し, 他者と共有し肯定される機会を持ったことで, 障害認識が向上し, リハビリテーションに対する動機付けを得られ, またグループへの帰属感が高まったと推察された。UBI は安心できる環境を保障し, 障害認識を高め, 社会復帰に向けた効果的なリハビリテーションを進める上で有用であると考えられた。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.39.429