妊娠中に発見されたtailgut cystの1例

今回われわれは妊娠中に発見され,画像検査から術前にtailgut cystを強く疑った1例を経験したので報告する.症例は30代女性で妊娠経過観察中の経膣超音波検査で骨盤内腫瘤を指摘された.自覚症状はなく,直腸指診で直腸後壁に弾性軟の腫瘤を触知した.出産後に施行した骨盤CTおよびMRI検査で直腸後面に境界明瞭,内部は均一な嚢胞性腫瘤を認めた.画像所見より術前からtailgut cystを疑い経仙骨的に腫瘤を摘出した.腫瘤は8×5.5×5cmで表面平滑,内腔に淡黄乳白色,クリーム状の液体を認めた.術後の組織学的所見より,tailgut cystと診断した.Tailgut cystは報告例も少なく,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 689 - 692
Main Authors 谷口, 正展, 下松谷, 匠, 杉山, 朋大, 金井, 俊平, 中村, 誠昌, 長門, 優
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.689

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Summary:今回われわれは妊娠中に発見され,画像検査から術前にtailgut cystを強く疑った1例を経験したので報告する.症例は30代女性で妊娠経過観察中の経膣超音波検査で骨盤内腫瘤を指摘された.自覚症状はなく,直腸指診で直腸後壁に弾性軟の腫瘤を触知した.出産後に施行した骨盤CTおよびMRI検査で直腸後面に境界明瞭,内部は均一な嚢胞性腫瘤を認めた.画像所見より術前からtailgut cystを疑い経仙骨的に腫瘤を摘出した.腫瘤は8×5.5×5cmで表面平滑,内腔に淡黄乳白色,クリーム状の液体を認めた.術後の組織学的所見より,tailgut cystと診断した.Tailgut cystは報告例も少なく,疾患概念が浸透していない.しかし約10%に悪性例があるため,術前から本疾患を念頭におき,適切な術式を選択することは重要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.689