大腿痛で発症した爪楊枝による直腸穿通の1例
症例は67歳の男性で,2018年9月から右大腿背部痛を自覚し近医を受診した.腰部脊柱管狭窄症の疑いでCT,MRIが施行された.この際,上部直腸から仙骨前面に貫通する異物が認められた.先端が右第2仙骨神経根に及んでいたため,この異物による症状と推測された.手術目的に当院へ紹介されたが,来院前の同年12月に右大腿背部痛が増悪したため当院に救急搬送された.全身状態は良好で,発熱や腹膜刺激症状はなかった.下部消化管内視鏡検査で肛門縁から15cmに口側直腸壁を貫通する棒状の異物を認めた.異物による直腸穿通の診断で,同日緊急手術を施行した.腹腔鏡下に摘出した異物は爪楊枝だった.術後,右大腿背部痛は消失した...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 4; pp. 730 - 735 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2020
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Summary: | 症例は67歳の男性で,2018年9月から右大腿背部痛を自覚し近医を受診した.腰部脊柱管狭窄症の疑いでCT,MRIが施行された.この際,上部直腸から仙骨前面に貫通する異物が認められた.先端が右第2仙骨神経根に及んでいたため,この異物による症状と推測された.手術目的に当院へ紹介されたが,来院前の同年12月に右大腿背部痛が増悪したため当院に救急搬送された.全身状態は良好で,発熱や腹膜刺激症状はなかった.下部消化管内視鏡検査で肛門縁から15cmに口側直腸壁を貫通する棒状の異物を認めた.異物による直腸穿通の診断で,同日緊急手術を施行した.腹腔鏡下に摘出した異物は爪楊枝だった.術後,右大腿背部痛は消失した.本人に誤飲の自覚はなかったが,爪楊枝を咥えて昼寝する癖があった.下肢神経症状を主訴とした爪楊枝による直腸穿通は稀と思われたので報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.81.730 |