妊娠を継続しながら治療した腹膜偽粘液腫の2例

妊娠を継続しながら治療した腹膜偽粘液腫(pseudomyxoma peritonei:以下,PMPと略記)の2例を経験した. 症例1:37歳初産婦.不妊治療中に卵巣の腫大を認め,腹腔鏡検査にてPMPと診断された.1年後に顕微授精にて妊娠し,妊娠19週で当院に紹介となった.妊娠35週で帝王切開にて出産し,出産7カ月後にPMPに対して肉眼的完全切除を行った.術後22カ月を経過して再発を認めていない. 症例2:34歳初産婦.原因不明の腹水に対する腹腔鏡検査にて虫垂原発のPMPと診断された.その後,顕微授精にて妊娠し,妊娠10週で当院に紹介となった.妊娠37週で帝王切開にて出産し,出産3カ月後にPMP...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 1; pp. 187 - 193
Main Authors 水本, 明良, 平野, 正満, 高尾, 信行, 松田, 高幸, 一瀬, 真澄, 米村, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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Summary:妊娠を継続しながら治療した腹膜偽粘液腫(pseudomyxoma peritonei:以下,PMPと略記)の2例を経験した. 症例1:37歳初産婦.不妊治療中に卵巣の腫大を認め,腹腔鏡検査にてPMPと診断された.1年後に顕微授精にて妊娠し,妊娠19週で当院に紹介となった.妊娠35週で帝王切開にて出産し,出産7カ月後にPMPに対して肉眼的完全切除を行った.術後22カ月を経過して再発を認めていない. 症例2:34歳初産婦.原因不明の腹水に対する腹腔鏡検査にて虫垂原発のPMPと診断された.その後,顕微授精にて妊娠し,妊娠10週で当院に紹介となった.妊娠37週で帝王切開にて出産し,出産3カ月後にPMPに対して肉眼的完全切除を行った.術後20カ月を経過し,画像上腹水の貯留を認め経過観察中である. 考察:妊娠に関連したPMPはきわめてまれで,妊娠の継続や出産ならびにその後の治療など,この疾患に関した十分な知識と理解が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.187