子宮頸部腺癌治療中に発症した子宮留膿症穿孔による汎発性腹膜炎の1例

症例は56歳,女性.子宮頸部腺癌IIIb期,傍大動脈リンパ節転移の診断で当院の婦人科外来で,放射線化学療法を施行されていた.2011年7月下旬に,突然の腹痛と発熱を主訴に婦人科を受診した.体温は38.4℃で,腹部全体に圧痛と反跳痛を認めた.血液検査では炎症所見と貧血を認めた.腹部骨盤CT検査で腹腔内遊離ガスを認めたため,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,外科にて緊急開腹手術を施行した.開腹所見で子宮留膿症穿孔と診断した.切除不能の子宮頸部腺癌であることを考慮して,穿孔部を縫合閉鎖し,大網で被覆した.またDouglas窩および子宮内にドレーンを留置した.術後経過は良好であった.高齢でない女性...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 1; pp. 182 - 186
Main Authors 西野, 拓磨, 山口, 明夫, 竹内, 一雄, 小畑, 真介, 藤島, 由佳, 木村, 俊久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.182

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Summary:症例は56歳,女性.子宮頸部腺癌IIIb期,傍大動脈リンパ節転移の診断で当院の婦人科外来で,放射線化学療法を施行されていた.2011年7月下旬に,突然の腹痛と発熱を主訴に婦人科を受診した.体温は38.4℃で,腹部全体に圧痛と反跳痛を認めた.血液検査では炎症所見と貧血を認めた.腹部骨盤CT検査で腹腔内遊離ガスを認めたため,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,外科にて緊急開腹手術を施行した.開腹所見で子宮留膿症穿孔と診断した.切除不能の子宮頸部腺癌であることを考慮して,穿孔部を縫合閉鎖し,大網で被覆した.またDouglas窩および子宮内にドレーンを留置した.術後経過は良好であった.高齢でない女性の子宮留膿腫穿孔は珍しいが,子宮悪性腫瘍の治療中に起こりうることに留意すべきである.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.182