腹腔鏡下肝切除を施行した7歳女児限局性結節性過形成の1例

7歳女児の限局性結節性過形成に対して,腹腔鏡下肝切除を施行した1例を経験した.患者はインフルエンザによる発熱で受診したが,腹部に腫瘤を触知し精査を行った.造影CTでは肝S 5,6より連続して尾側に突出する75×70mmの多血性腫瘤を認めた.腫瘤内部は不均一で中心瘢痕を有し,肝動脈枝(A5)が中心瘢痕から末梢に放射状に走行していた.造影MRIおよびソナゾイド造影超音波検査所見からも限局性結節性過形成(focal nodular hyperplasia;FNH)が第一に考えられた.腫瘤は肝弯部結腸を圧排しており,また出血,梗塞,感染の合併などの危険性を考え切除の方針とした.手術は腹腔鏡下肝部分切除...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 3; pp. 564 - 570
Main Authors 天谷, 奨, 宗本, 義則, 高嶋, 吉浩, 寺田, 卓郎, 三井, 毅, 宮山, 士朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.564

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Summary:7歳女児の限局性結節性過形成に対して,腹腔鏡下肝切除を施行した1例を経験した.患者はインフルエンザによる発熱で受診したが,腹部に腫瘤を触知し精査を行った.造影CTでは肝S 5,6より連続して尾側に突出する75×70mmの多血性腫瘤を認めた.腫瘤内部は不均一で中心瘢痕を有し,肝動脈枝(A5)が中心瘢痕から末梢に放射状に走行していた.造影MRIおよびソナゾイド造影超音波検査所見からも限局性結節性過形成(focal nodular hyperplasia;FNH)が第一に考えられた.腫瘤は肝弯部結腸を圧排しており,また出血,梗塞,感染の合併などの危険性を考え切除の方針とした.手術は腹腔鏡下肝部分切除を施行した.病理組織学的に腫瘤は肝細胞の増生からなり中心瘢痕部に細胆管増生や筋性の異常動脈を認め,FNHと診断した.術後は第6病日に退院し,術後2年9カ月現在,再発は認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.564